KDDIは、AbemaTVが運営する新しい未来のテレビ「ABEMA」と共同で、日本で初めて5G SA(スタンドアローン)を活用した映像の生中継を実施すると発表した。

同取り組みは、同日午後7時から配信予定のHIPHOPチャンネル「ABEMAMIX」の一部で実施。5G SA対応のスマートフォンとネットワークスライシングを活用して安定した映像中継を提供するとのことだ。

なお、KDDIは2022年2月21日から、法人向けに5G SAサービスを提供開始。

■法人向けに5G SA提供

KDDIは、2020年からノンスタンドアローン方式による5Gサービス(以下、5G NSA)を提供している。5G SAは、コア設備(以下、5GC)を含めて5G技術のみで通信を可能とするシステム。

高速・大容量通信に加え、ネットワークスライシングなどの新たな機能の実装が可能になるとのことだ。従来では有線回線が利用されていた産業へ5G SAを導入することで、無線化による業務効率化や低コスト化が期待されるという。

■取り組み 概要

「ABEMA」で生配信される映像の一部を5G SA対応スマートフォンを通じて中継する。

映像中継にあたっては、繁華街など人が集まるエリアにおいても中継用の映像伝送品質を確保する必要があり、5G SAでは大容量の映像伝送だけでなく、ネットワークスライシングにより中継用の通信を論理的に分離することで、他の通信に影響を受けない安定した映像伝送ができるようになるとのことだ。

今後KDDIは、中継設備の簡素化によるコスト削減のほか、スマートフォンからの多アングル中継など、臨場感のある新たな映像体験の実現を目指すとしている。

サイバーエージェント スタジオ設備担当 増田雄亮氏は次のように述べている。

現状、4G LTEでは安定的に伝送できない場合は、専用機材で回線を束ねるなどの対処をしていましたが、事前の映像中継試験では5G SAのネットワークスライシングにより、回線負荷の高い状態でも安定的に配信できることが実証でき、我々が考えていた以上の効果がありました。今後、イベント会場からの生中継でも視聴者の方々に高画質で安定的な映像をお届けするために、KDDIの5G SAに大いに期待しています。

今後もKDDIは、5G SA時代のビジネスユースケースや新たなサービスの創出に向けた取り組みを進めていくとともに、映像中継のDXと新たな映像体験の実現を支援していくとしている。