“投資型/融資型クラウドファンディング”ともいわれるソーシャルレンディングが、注目度を高めている。

ソーシャルレンディングは、お金を投資したい一般投資家と、お金を必要としている人や会社を、インターネット上でマッチングする投資の形だ。2017年には1,316億円の投資が集まり、前年比147%の成長率となっている。

この急成長の背景にあるのは、低金利政策や年金不安だろうか。

「老後資金」に関するアンケートに見る、不安と準備

今回、ソーシャルレンディング比較サービス「クラウドポート」を運営するクラウドポートは、「老後資金」に関するアンケート調査結果を公開した。

結果、約9割の人が老後資金に対して不安をいだいているものの、4人に1人は具体的に必要な金額のイメージができていないと回答したことがわかった。

不安の背景について、最も多かった回答は「年金受給の年齢が引き上げられるから」(64.2%)、次いで「特定の背景や理由はなく、漠然と不安」(43.2%)となった。

年金受給年齢の引き上げや雇用形態の変容など、自身の将来について不安を感じる機会が増えているのではないかと分析されている。

老後資金の準備について、開始時期は「30代」が最も多く、2人に1人が「60歳まで」に準備が必要と回答している。実際に今準備しているかという問いには、62.2%の方が「ない」と答えた。

「ある」と答えた人の準備方法としては「貯金」が85.5%と最も多く、次いで「年金」が41.4%だった。老後資金の準備方法としては、資産運用をするというよりも「貯蓄」がまだ一般的なようだ。

クラウドポートが運営する「クラウドポートニュース」で、ソーシャルレンディングブロガー兼投資家の中田健介氏は、「老後資金をソーシャルレンディングで作るために心がけるべきこと」として次の4項目を挙げている。

  1. 計画的に投資する
  2. 複利効果を活かす
  3. 毎年自分で決めた追加投資額を守る
  4. リスクを見極めた上で投資を行う

では、実際に投資家はどのような目線でソーシャルレンディングを行っているのだろうか。

ソーシャルレンディング投資家は安全を重視

クラウドポートでは2018年5月に、「ソーシャルレンディング投資の選び方」について投資家アンケート結果も公開している。

ソーシャルレンディング投資家14名に聞いた結果、「事業者を選ぶ際に何を重視するか」という問いには、「代表者・経営陣の経歴」を重視して事業者を選択するという人が10名と最も多かった。

「親会社・出資者の信用度」(8名)、「実績(営業年数・募集総額など)」(6名)を挙げた人も多かったことからも、投資家にとっては事業者の信用度が選択の第一条件となっていることがわかる。

「ファンドの利回り」を重視するという人も9名で、ソーシャルレンディング投資の高利回りも魅力のひとつのようだ。

「ファンドを選ぶ際に何を重視するか」との問いには、12名が「投資期間」と回答した。加えて、「好きな投資テーマは何か」という問いには、「国内不動産」が最も人気が高く、10名の投資家が挙げた。

一方で海外の投資テーマを挙げた人は少なく、資金拘束期間が長いファンドや海外投資など、リスクが高いと考えられるものは敬遠されているようだ。

全体として投資家は、事業者・ファンドの選択で、いずれにおいても安全性を第一に考えていることがわかった。ソーシャルレンディング投資の他にも多様な投資スタイルをとっていることも特徴として示された。

アンケートから浮かび上がる、新サービスの動向

ソーシャルレンディングは、既存の銀行や株式市場では難しかった場面での投資や資金調達を可能にしてくれる。まだ新しいサービスだからこそ、このアンケート調査のような“情報”が投資のカギとなる。

漠然と老後に不安を感じてしまう現代だが、投資家も安全第一で投資していることや、1万円といった小口から始められる情報を得れば、老後資金の準備に「ソーシャルレンディング」という選択肢を持てるようになるのではないだろうか。

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