ヤフー(以下、Yahoo! JAPAN)は4月1日より、通勤手段の制限を緩和し、居住地を全国に拡大できるなど、社員一人ひとりのニーズにあわせて働く場所や環境を選択できる人事制度「どこでもオフィス」を拡充すると発表した。

緊急事態宣言が解除され、一部企業において、社員に対し週に数回程度の出社を求めるなど「オフィス回帰」の動きがある中で、Yahoo! JAPANは、これまで以上に柔軟に、社員一人ひとりの事情にあわせた働き方を選択できるようになるという。

これにより、社員約8,000人のウェルビーイング(幸福)が向上することによるパフォーマンスの最大化を目指すとともに、居住地に左右されない優秀な人材の採用や、多様な価値観にあわせて働き方を選択できることで、ダイバーシティをさらに推進していくとのことだ。

■世の中の流れや背景

新型コロナウイルスの流行で、多くの企業がテレワークなどニューノーマル(新しい日常)時代の働き方に移行。しかし、19都道府県に発出されていた緊急事態宣言が解除された2021年9月末以降、出社をメインとした労働形態に戻し始めた企業も増えており、外部調査によると「出社日が増えた」とする人が3割以上いることがわかった。

また、都心では、2020年2月から2021年10月にかけて上がり続けていたオフィスの空室率が、11月には約2年ぶりに下がったことからも、徐々に「オフィス回帰」の動きが見られるという。

■Yahoo! JAPANのこれまでの取り組みと成果

Yahoo! JAPANは2014年に、オフィス以外も含め、働く場所を自由に選択できる「どこでもオフィス」というリモートワークの制度を設け、2020年には月5回までという制限を解除して無制限とするなど、時間と場所に捉われない「新しい働き方」を推進している。

その結果、2022年1月現在でも約9割の社員がリモートワークで業務に従事するとともに、約9割の社員がリモート環境でも「パフォーマンスへの影響がなかった」、もしくは「向上した」と回答。

また、他にも、「これまで育児や介護のためやむを得ず時短で働いていた社員がフルタイムで働けるようになった」「自宅にいる時間の増加にともない、家族と関われる時間が増えた」「通勤時間が削減されることで学習など自己研鑽の時間が増えた」などといったメリットも見られたとのことだ。

また、ニューノーマル(新しい日常)時代のオフィスの最適化にも取り組んでいるという。オフィスの一部を「1人で集中するフロア」「みんなで会議やコミュニケーションができるフロア」など目的ごとに最適化した「実験オフィス」の取り組みを実施しているという。

他にも、全国各地におけるサテライトオフィスの契約など、社員一人ひとりのニーズにあわせて働く環境を自由に選べるよう整備しており、「会社で同僚と直接コミュニケーションをとりたい」「業務以外の雑談を同僚としたい」という声に応え、オフィスでのランチとドリンクを無料提供する実証実験を行うなど、社員のニーズに応じてオフラインでのコミュニケーションの活性化施策も提供しているという。

これらの取り組みにより、社内アンケートでは、約8割が現在のオンラインを前提とした職場環境に「満足」しているという結果となったとのことだ。

■Yahoo! JAPANのこれからの取り組み

すでにさまざまな取り組みを進めており、社員の満足度も高いYahoo! JAPANの働き方であるが、社内アンケートから見えてきた社員の要望や課題に応え、4月1日から、これまで以上に社員一人ひとりの事情にあわせた働き方を選択できるよう、人事制度「どこでもオフィス」を拡充するという。

これまでの「どこでもオフィス」制度は、日本国内であれば好きな場所で働ける制度でしたが、出社指示があった際の通勤手段には一部制限があり、居住地も午前11時までに出社できる範囲に限定していたという。

4月1日より、社員約8,000人がそれぞれの事情にあわせた働き方をこれまで以上に柔軟に選択できるよう、通勤手段の制限などを緩和し、居住地を全国に拡大。

これにより、社員のウェルビーイング(幸福)が向上することによるパフォーマンスの最大化を目指すとしている。

加えて、居住地域に左右されない優秀な人材の採用や、多様な価値観にあわせて働き方を選択できることで、ダイバーシティをさらに推進していくとのことだ。

「情報技術のチカラで、日本をもっと便利に。」をミッションに掲げるYahoo! JAPANは、ユーザーに便利なサービス提供をするべく、社員一人ひとりが自身のパフォーマンスを最大限発揮できるための環境や場所を自ら選ぶことで、より生産性高く、創造性を発揮できるよう、今後もさまざまな取り組みを進めていくとしている。

■同施策の概要

(1)居住地の選択肢を拡大
従来は、働く場所は個人の創造性が発揮される場所とし、制限は設けていなかったが、居住地は、出社指示があった際に午前11時までに出社できる範囲に限定していたという。4月1日より、日本国内であればどこでも居住できるようになる。

(2)通勤手段の制限を撤廃
従来は、通勤手段は電車や新幹線、バスのみとしており、特急や飛行機などは認めていなかったが、4月1日より、特急や飛行機、高速バスでの出社も可能になるとのことだ。

(3)交通費の片道上限を撤廃
従来は、交通費の上限は、片道6,500円/日、15万円/月としていたが、4月1日より、片道上限を撤廃。

(4)「どこでもオフィス手当」の増額
働く環境を整備するための「どこでもオフィス手当」を1,000円増額し、毎月最大10,000円の補助(どこでもオフィス手当5,000円+通信費補助5,000円)を支給。

(5)希望者へのタブレット端末の貸与
社員のさらなる生産性向上を目的として、希望する正社員に対し、業務用PCとは別に新たにタブレット端末を貸与。社員の業務スタイルやニーズにあわせて最適なデバイスを選択可能であるという。

(6)懇親会費の補助
コミュニケーションの活性化を目的に、社員間で行われる懇親会の飲食費用を、1人あたり5,000円/月 まで補助。

※オフラインでのコミュニケーション活性化施策については、新型コロナウイルス対策を徹底した上で行い、感染状況を踏まえて一時的に中断する可能性があるという。

<対象>
全国の正社員、契約社員、嘱託社員 約8,000名