コンピューターの中に作られた仮想的な世界を、あたかも現実のように体験させる技術である仮想現実技術(VR)が注目を集めている。
エンタメ、VRカメラ、建築関連、教育・医療などさまざま分野での活用が進められているが、今回、航空会社がそれを利用し、観光スポットをリアルに体験させるという試みが登場した。
ニュージーランド航空は、10月9~10日にロサンゼルスで初開催された米国の空間コンピューティング会社であるマジック・リープ社(Magic Leap)の主催によるL.E.A.P.カンファレンスにおいて、多人数参加型の空間コンピューティング・ゲームの初期構想を発表した。
“現実か幻想か”ニュージーランドをリアルに体験できるゲーム
ニュージーランド航空は1年半以上にわたりクリエイティブ・スタジオのフレームストア(Framestore)と協力し、ニュージーランドをテーマにした空間コンピューティング・ボードゲーム「Air New Zealand Fact or Fantasy Game of New Zealand(ニュージーランド航空の“ニュージーランド 現実か幻想か”ゲーム)」を開発した。
このゲームのプレイヤーは、主要な観光スポットを訪れたかのように、ニュージーランドをリアルに体験することができるという。
Magic Leapは、デジタルコンテンツが画面から現実世界に飛び出す軽量でウェアラブルなコンピューティング・デバイス「Magic Leap One」Creator Edition(開発者版)を開発した企業だ。
そのMagic Leap主催のL.E.A.P.カンファレンスは、選定されたパートナー企業が最先端技術によるイノベーションを紹介する、クリエイターのためのプラットフォームである。
今回、ニュージーランド航空はこのL.E.A.P.カンファレンスで、新ゲームを発表した。
「Air New Zealand Fact or Fantasy Game of New Zealand(ニュージーランド航空の“ニュージーランド 現実か幻想か” ゲーム)」では、プレイヤーが「Magic Leap One」を着用すると、ニュージーランドの3Dマップを体験することができる。
さらにプレイヤーは、カウリの巨木の成長をみたり、ホビットに出会ったり、クジラから水しぶきを受けたり、ヘリコプターから飛び降りるバンジー・ジャンプの様子を鳥のようにみたりといった世界を体験できる。
ニュージーランド航空グローバル・ブランド&コンテンツ担当ジェネラル・マネージャーのジョディ・ウィリアムズ氏は「ニュージーランド航空は、空間コンピューティングが地上や機内におけるサービスの向上に果たす役割を知るために、Magic Leapとの提携が重要なステップになると考えています」と述べている。
新時代への挑戦の先鞭をつけたニュージーランド航空
ニュージーランド航空では、最新テクノロジーを活用して既存のユーザー、また将来のユーザーとつながることを、重要な戦略と位置付けているという。
最近ではAIヒューマン・アンバサダーやさまざまな仮想現実のアプリケーション実験、またシカゴでは屋外活用の一環として拡張現実を体験するヴァーチャル・ドアを披露した。
今後、テクノロジーの進化に伴い、航空会社を含め、旅行分野でもこのような取り組みが求められてくるだろう。ニュージーランド航空の今回の取り組みは、その先鞭をつけた新時代への挑戦になりそうだ。
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