朝日新聞社は、「朝日新聞デジタル」などの運営するデジタル媒体において、記事コンテンツの文意・文脈をAIによって解析し、関連した広告を配信する新たなサービス「コンテクスチュアルターゲティング」を開始すると発表した。

Cookie規制の強化や「改正個人情報保護法」の施行に伴い、ユーザーの閲覧履歴の活用が難しくなることを見据えたサービス(商品)の一つとしている。

同配信サービスは、デジタル広告の検証・不正対策「アドベリフィケーション」に取り組む、Integral Ad Science(インテグラル アド サイエンス、以下、IAS)と共同で開発。IASとの共同開発としては、日本のメディアで初めての展開となるとのことだ。

朝日新聞社とIAS

同サービスは、ユーザーの閲覧履歴(3rd Party Cookieを活用)に基づいた従来のターゲティング広告とは異なり、記事コンテンツの文脈(コンテクスト)をAIが解析し、それに関連した広告を配信する、プライバシーに配慮した安心・安全な広告体験を提供するものだという。

さらに、「ユーザーのコンテンツ閲覧時(モーメント)の心情・心理(エモーション)をくみ取る」ことも目指して、「エモーショナルアド」という概念に進化させていくとしている。

記事コンテンツの文脈に合わせて、自然な流れで広告を訴求することで、ユーザーに不快感や嫌悪感を与えることを防ぐことができるのは、広告主にとってもメリットとなり、従来よりも広告商品への関心が高いユーザーによるCTRやエンゲージメントの向上などの訴求効果も期待できるとのことだ。

【コンテクスチュアルターゲティングの広告効果】

同サービスのリリースに際し、朝日新聞デジタル上で複数のセグメントとクリエイティブを掛け合わせて、コンテクスチュアルターゲティングを活用した場合と活用しない通常の場合での効果を比較する検証テストを実施したという。

その結果、コンテクスチュアルターゲティングを活用した場合には、ノンターゲティング配信と比べて、1.広告のCTRは152%~114%上昇、2.ランディングページから広告主の商品詳細ページへの遷移率も231%上昇という効果が得られたとし、ランディングページでのスクロール率の上昇も見られたとのことだ。