現金決済に比べ、キャッシュレス決済は支払時の利便性や安全性が高く、消費者・事業者の双方にメリットが多いため、世界的に注目されている。

しかし、わが国はいまだに現金に対する信頼が強いのか、キャッシュレス決済はあまり浸透していないのが現状だ。

このため、日本政府はキャッシュレス化の推進を図り、2025年までにキャッシュレス決済比率40%を目標に掲げている。(キャッシュレス・ビジョン–経済産業省

さらに、政府に呼応するように、企業の動きも活発になってきている。

従来よりスマホ決済を提供していたLINEやNTTドコモなどに加え、ソフトバンクグループやヤフーなどの大手企業から小規模ベンチャー、さらにはメガバンク・地方銀行までが、スマホ決済市場へ続々と参入しているのだ。

こうした動きを受け、Credit Tech(クレジットテック)のパイオニアであるネットプロテクションズは、「国内のスマホ決済カオスマップ」を作成した。

このマップは、消費者と事業者が各々のスマホ決済の特徴や強みを把握できるようにしたものだ。

消費者向けと事業者向けの2種類を作成

マップの作成にあたってはキャッシュレスの推進が最も望まれる実店舗でのスマホ決済に焦点を当て、消費者向けと事業者向けの2種類のカオスマップを作成した。

消費者向けは、事業者を「後払い・クレジット」、「デビット・即時決済」、「プリペイド・チャージ・事前入金」の以下の3つに分類した。

  • 「後払い・クレジット」

    会計成立後に代金を支払う決済サービス
  • 「デビット・即時決済」

    会計と同時に代金を銀行口座から引き落とす決済サービス
  • 「プリペイド・チャージ・事前入金」

    会計よりも前に入金し利用する決済サービス

事業者向けは、事業者が消費者の属性ごとにスマホ決済のサービスを選定できるよう、消費者属性によりニーズが明確に分かれる切り口(「支払いタイミング」と「クレカ登録の有無」)で分類した。

このマップと以前同社が調査した「キャッシュレスに関する消費者の意識調査」の結果を照らしてみると、以下のことがわかったという。

  • 現金に次いでニーズの高いクレジットカードを紐づけるタイプのスマホ決済が最も多く存在する
  • クレジットカードを持っていない/利用したくない現金派向けの後払い決済サービスには一定のニーズがある一方、そのニーズを満たすサービスは多くない

日本では主要都市部でさえ4人に1人しかスマホ決済利用していない現状

ここで、スマホ決済サービスの利用実態をみてみたい。冒頭でも述べたが、わが国ではいまだキャッシュレス化は進んでいない。

スマート・ソリューション・テクノロジーが運営するスマートサウンドラボ(SSL)が、北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県在住の20代~50代の男女200人にスマートフォンを活用した決済についてアンケート調査を行ったところ、主要都市部でさえ4人に1人しかスマホ決済を利用していないことがわかった。

この調査では、スマートフォンを活用した決済サービスを日常的に活用している人に、現在使っている決済サービスをたずねたところ、1位はモバイルSuica、2位以下は、Apple payに次いでEdyとnanacoが同列3位という結果になった。

また、スマホ決済サービス利用者に、利用している場所について調査を行ったところ、1位はコンビニエンスストアであり、全体の65%以上を占め、すべての年代において高い結果であることがわかった。

この結果について、コンビニは慢性的な人手不足に悩まされているため、無人化の動きも出てきている。このため、キャッシュレス化がユーザー優位で進んでいると推測できる。

現金派が多い日本。官民あげての対策を

前述したネットプロテクションズが7月に発表した「キャッシュレスに関する消費者の意識調査」では、現金を使う理由として、クレジットカードの使いすぎを憂慮する現金派ユーザーが36%もいるという。

このように、まだ日本には現金派が多い。政府の掲げる2025年までにキャッシュレス決済比率40%という目標を達成するには、官民あげての対策が必要となるだろう。

img:PR TIMES