中外製薬は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を対象として開発中のcasirivimabとimdevimabの抗体カクテル療法について、日本政府による確保に関して合意したと発表した。

同合意は、同抗体カクテル療法が日本において薬事承認された場合、国内での供給を目的として2021年分を日本政府が確保するものであるという。

同抗体カクテル療法は、2つのウイルス中和抗体casirivimabおよびimdevimabを組み合わせ、新型コロナウイルス感染症に対する治療および予防を目的として、米国リジェネロン社により創製された。

同社の戦略的提携先であるロシュ社が2020年8月にリジェネロン社と製造、開発、販売について共同で実施することを発表し、同年12月に、中外製薬が日本における開発権および今後の独占的販売権をロシュ社より取得しているとのことだ。

変異株の感染拡大など、新型コロナウイルス感染症の流行は長期化しており、新たな治療選択肢が引き続き求められている。

同抗体カクテル療法は、ウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合部位に非競合的に結合する二つの異なる抗体医薬品を同時に投与することで、SARS-CoV-2に対して中和活性を示し、ヒト集団で現在蔓延しているスパイクタンパク質に変異を持つウイルス株を防御することが期待されているとのことだ。

なお、新型コロナウイルス感染症の治療および予防に対して複数の海外臨床試験が実施され、国内では日本人における安全性・忍容性、薬物動態を検討する第Ⅰ相臨床試験を本年3月に開始。

同社は、同抗体カクテル療法の薬事承認が得られた場合の適切かつ速やかな供給に向け、引き続き日本政府とともに協働していくとしている。

なお、同件は、2021年2月4日に公表した2021年12月期の業績予想には含まれていないという。現時点において当該予想の変更はないが、今後開示すべき事由が発生した際には、速やかに開示するとしている。