Zホールディングス株式会社は4月28日、2020年度通期および第4四半期決算説明会を実施した。LINE株式会社が提供するコミュニケーションアプリ「LINE」の利用者情報について、業務委託先の中国企業がアクセスできる状態になっていた問題が明るみになったため、終始雰囲気は暗かった。
Zホールディングス株式会社 代表取締役社長Co-CEO(共同最高経営責任者)の川邊健太郎氏は、冒頭で同問題について謝罪し、「皆さまにご心配をおかけしておりました中国の拠点からのアクセス遮断と、プライバシーポリシーの改定に関しては、すでに対応を終えております。また、画像・動画などを国外で保管していた点に関しても、国内への完全移転を進めています」と説明した。
有識者による特別委員会を設置し、4月28日には第3回目の特別委員会を開催することに触れ、「委員の皆さまからの提言をもとに議論を深め、親会社として責任を持って、管理・監督をし、ユーザーに安全してご利用いただけるよう、グループ全体のデータガバナンスとセキュリティ対策を強化して参ります」と述べた。
AI(人工知能)関連メディアのLedge.ai編集部が報じたとおり、3月1日に実施したZホールディングスとLINE株式会社の経営統合に関する発表会では、川邊健太郎氏は「AIをキーテクノロジーに各領域を力強く成長させるため、5年で5000億円を投資します。また、AI人材は5年で5000人増員します」と言及していた。
今回、Ledge.ai編集部では川邊健太郎氏に「ZホールディングスとLINEの経営統合がGAFA対抗などと報じられるなか、今回のLINEの騒動があった。国内へのデータ移転は利用者の安心感だけではなく、AI事業を推し進めるZホールディングスにもメリットがあるのではないか?」と聞くと、以下の回答が得られた。
「もちろん、国内へのデータ移転をすることで、ユーザーに関心安全にご利用いただける。それによって、さまざまなデータが集積され、良いAIができるという、好循環が生まれてくると考えています。だから、良い影響があると考えております」
「他方、やはり日本国内のデータセンターの立地条件は自然災害の影響があります。あるいは、電気代は諸外国に比べて高いという現実的な問題もあり、これらは逆にデメリットになると考えております。このあたりはデータセキュリティの意識向上にともなって、国内事業者が不利になりすぎないような施策を国にもぜひ検討していただきたい。そういったものをわれわれも積極的に利用して競争力にしていきたい、変えていきたいと思っております」