世界各地でキャッシュレス化が進んでいる。

経済産業省の「キャッシュレスの現状と推進」によると、2015年のキャッシュレス決済比率は、中国は55%、韓国は54%、米国は41%と決済のほぼ50%を占めるほどになっている。一方、日本は18%と低いが、今後は拡大が期待されている。

キャッシュレス決済の方法としては、さまざまな方法があるが、中でも注目を集めているのが、LINE Pay、楽天Payなどのコード決済だ。リエールファクトリー株式会社は、インターネット利用者を対象に「コード決済」の認知度・利用率についての調査を実施した。

認知度トップは「Apple Pay」。利用度トップは「楽天Pay」

まず、「知っているサービスを教えてください」の質問に対し、最も高い数値を集めたのは「Apple Pay」の68.3%。次いで「楽天Pay」が65.1%、「LINE Pay」が5.9%となった。

また、「利用したことのあるサービス・支払い方法」については、「Apple Pay」は5.9%、「楽天Pay」は12.9%、「LINE Pay」は5.9%となった。同社では、認知度はあるものの利用には至っていないことがわかったとしている。

また、利用率が一番高かった楽天カード保持者に対して利用状況を質問したところ、楽天Payを利用したことのある人は2%だった。カード自体を保持しても実際には利用に至らない人がほとんどのようだ。

さらに、「貯めているポイント」について聞いたところ、最多は楽天ポイントで67.2%、次いでTポイントが65.3%となった。

キャッシュレス決済での支払いはまだ一部に限定

一方、クレジットカードの月における利用回数については、クレジットカードの利用頻度は1~5回が最多で56%となった。

また、月におけるクレジットカードの利用金額については、30,000円以下の利用が合計52.9%になり、利用用途としては「携帯料金・通信費用」が67.6%、「衣類(ファッション)・美容」が69.1%となった。

キャッシュレス決済での支払いは、まだ一部の支払いに限られ、普段の支払いでは現金を利用している人がまだ多いことがわかる。

これらの結果について、リエールファクトリー株式会社では、現在のクレジットカードよりお得になれれば消費者は新しい決済方法に乗り換える可能性があり、現在のクレジットカードのお得と新しい決済方法のお得を2重で享受できればコード決済の普及は加速すると予想している。

中国にキャッシュレス決済広めた「QRコード」

さきほども述べたが現在、キャッシュレス決済が最も進んでいる国は中国だ。そのキャッシュレス化を後押ししたのが「QRコード」であるが、土台となったのは中国版Twitterの「Weibo」や中国版LINEの「WeChat」、中国版Skypeの「QQ」といった中国の主要ウェブサービスを展開する、Tencentによるコミュニケーションツールをとおした普及であった。

同社のサービスのアカウントはQRコードで表示することができ、ユーザーは当たり前のように、連絡先の交換をQRコードで行う。Snapchatのスナップコードのように、中国においてQRコードはコミュニケーションにおける1つのツールとして当たり前に認知されていったのだ。

コミュニケーションツールをきっかけに、中国の人々にとってQRコードを利用することは日常となった。そして、QRコードがさらに社会へと浸透する決定打となったのが決済サービスだった。

Tencentが提供するWeChatは2013年よりQRコードを用いた決済機能「WeChat Pay」を導入。コミュニケーションツールで抱えた膨大なユーザー数を武器に、モバイル決済分野での事業を拡大し、実店舗やオンラインでの決済はもちろん、P2P送金なども含め中国のあらゆる決済を握っていった。

このWeChat Payを上回る流通額をもつモバイル決済サービスがAlibabaが展開する「AliPay」だ。Alipayは2012年よりQRコードによる決済を導入し、WeChat Paymentよりも一足早く市場を席巻していった。

QRコードは、モバイルデバイスによってスキャンが容易になるため、店舗側も新規で端末等を導入する必要がなく、店舗・個人ともに導入ハードルが低いため、モバイル決済を普及させる大きな要因となった。

コード決済が普及するには二重のメリットがカギ

調査の結果からは、コード決済の利用率は全体の10%にも満たないものの、クレジットカードとコード決済の二重メリットを教授することにより普及が加速するという推察がされている。

コード決済利用率は楽天Payがトップであったが、中国の例に当てはめると、コミニュケーションツールであるLINEが展開するLINE Payが巻き返すことも考えられる。

ポイントの用途が充実している「楽天」か、コミニュケーションツールの「LINE」がコード決済のメインとなっていくのか。はたまたキャッシュレス文化はこのまま低迷していくのか、今後の動きに注目したい。

img:PR TIMES