6,560万人。
これは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)により発表された、2016年末時点の世界の難民や難民申請者、国内で住まいを失った避難民の数だ。こうしている間にも難民の数は増えている。
この世界的な社会的課題を解決しようとAirbnbは、難民へと無料で宿泊場所を提供するための新たなプラットフォーム「Open Homes Platform」を立ち上げたと発表した。
同サービスに登録すると、国際救済委員会(IRC)などの支援団体の仲介を経て、難民に部屋を無料で提供できるようになる。
5年間で、住む場所を失った10万人に宿泊場所を提供する
Airbnbは、2017年2月に「今後5年間で、住む場所を失った人たち10万人に短期宿泊施設を提供すること」を目指すキャンペーンを打ち出したばかりだ。
難民や、災害時の被災者を対象に宿泊場所を提供するサービスを一層強化することを発表し、今後4年間で国際救済委員会(IRC)に400万ドル(約4億5,000万円)を寄付する計画も発表していた。
これまでAirbnbは、2012年にハリケーン・サンディがアメリカの東海岸を襲った際、ニューヨーク在住のホストが被災者に無料で宿泊場所を提供したいという申し出を受けたことをきっかけに、緊急災害支援プログラムを提供してきた。
火災や自然災害で家を失った被災者のために一時避難場所の提供を行ってきた同社は、ここ日本でも、2016年4月に熊本地震が発生した際、被災者向けに無料宿泊場所のマッチングサービスを提供。特設ページを設け、寝泊まりする場所がない被災者に、既存のホストが提供する施設の宿泊料をAirbnbが負担するかたちで、支援を行ってきた。
今回発表したOpen Homes Platformは、これまでのように災害が発生する度にプログラムを提供するのではなく、事前に支援団体を通じて宿泊施設の提供者と、宿泊希望者のマッチングを行うプラットフォームを提供する。
まだ増加していくと予想される難民の支援を行っていく姿勢だ。これは、緊急災害時の事前対策も兼ねる。
Airbnbを通じて、一般の人が世界的規模で増加する難民を救う
難民は、様々な原因で発生する。紛争や環境問題に起因することも多い。2100年までに気候変動による海面上昇や砂漠化も予想される地域は多く、気候変動の影響を受けて発生する難民の数は、1億5,000万人にのぼると言われている。
現状、難民を支援するための施設ニーズは高まることはあれど、減少することはないと考えられる。悩ましいことだ。
これまではNGOなどが難民支援に関わってきたが、一般の人も支援できる仕組みをAirbnbは提供することになる。こうした課題に対する、素早い行動がAirbnbというサービスへのファンを増やしていることは間違いないだろう。
企業として、サービスとして社会的にどのような影響をもたらすべきか、これからの企業は考えていかなければならない。遊休資産を活用するAirbnbのようなシェアリングエコノミーのサービスは、社会課題の解決にも活きる部分が多いはずだ。ここから生まれてきている「サーキュラーエコノミー」のような概念の広まりと共に、今後に期待したい。
世界で注目の概念「サーキュラーエコノミー」とは? 経済を循環させる5つのアプローチ
img: Airbnb