楽天、KKR & Co. Inc.(以下、KKR)およびウォルマートは、ウォルマートが保有する西友について、KKRが過半数株式を、楽天が新たに設立する子会社が少数株式を取得することで合意し、契約を締結したと発表した。

同取引における企業価値は1,725億円(約16億米ドル)となるとのことだ。

同契約では、KKRは西友株式65%を取得、楽天は小売業のDX推進を目的に設立する新会社を通じて西友株式20%を取得。ウォルマートは西友株式15%を継続保有するという。

同取引により西友には新たな株主が加わると共に日本で意思決定ができるようになり、さらには新たな株主が持つ専門性を活用しながらイノベーションを進め、利用者や取引先が恩恵を享受できるようDXを一段と加速できるようになるとのことだ。

同契約は、3社が西友のより一層の成長と長期戦略の実現にコミットしていることのあらわれであるという。

西友は昨年、意欲的な成長戦略を掲げ、利用者へのさらなる価値の提供、生鮮へのこだわり、オンラインとオフラインを融合した利便性強化に注力。既に、市場シェア、顧客満足度、アソシエイト(従業員)満足度、業績など、ビジネスおよび財務に関する主要指標で目標を達成し、一部は目標超えを実現しているとのことだ。

今後は株主3社がそれぞれの強みを投入することで西友がこれまで推進してきた戦略実行を加速化させ、日本を代表するOMOリテーラーとなるための取り組みを後押しするとしている。

今回のKKRと楽天の西友への出資を通じて、西友の利用者にはこれまで以上の利便性を提供することを目指すとし、具体的には以下の施策が考えられるという。

  • デジタル・チャネル投資の加速化による、アプリを利用した買い物、決済、配達の実現
  • 新たなキャッシュレス決済の導入
  • オンラインとオフライン(実店舗)を融合させたサービス体験の向上
  • 消費者のニーズを先取りしたエブリデー・ロー・プライス(毎日低価格)商品群の拡充

KKRは長年にわたり大企業グループの子会社への投資を通じて各社の潜在力を引き出し、独立した会社としてさらなる成長と価値拡大を実現させてきた実績がある。

KKRが抱えるアドバイザー、ポートフォリオ企業、専門家のネットワークを活用しながら、西友に対しても業界のベストプラクティスおよびオペレーション改善にかかる知見を投入し、小売りビジネスのトランスフォメーションと価値創造を支援。

楽天とウォルマートは既に、戦略的提携のもと、楽天と西友の合弁会社を通じてネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」を協働運営し、順調に成長させているほか、米国においても電子書籍サービス「楽天Kobo」の展開において協業している。

今回の取引もその一環であり、楽天は新会社「楽天DXソリューション(仮)」を通じて、楽天が保有する1億以上の会員基盤やテクノロジーを活用して、西友を含む日本の小売業のさらなるDX推進を支援。

また、西友は今後も引き続きウォルマートのベストプラクティス、グローバル調達網、プライス(価格)・リーダーシップと価値提供を可能にするスケールメリットを活用していくという。

西友のCEOであるリオネル・デスクリー氏は移行期間中、引き続き西友の事業統括にあたり、その後はウォルマートにおいて新たな役割を担うとしている。

西友の新たな取締役会は、KKR、楽天、ウォルマート各社が選出する取締役で構成し、日本で意思決定ができる体制を実現。また、案件完了時を目途に新たなCEOを指名する予定であるとのことだ。

また、KKRはアジア・プライベート・エクイティ・ファンドから投資を実行。同取引は規制当局の認可を得た上で、2021年第1四半期に完了する予定としている。