富士通は、自動車に搭載されるソフトウェアを開発する上で、各設計部門のコラボレーション開発を支援する車載ソフトウェア開発基盤「Future Mobility Accelerator Design Collaborator」(以下、「Design Collaborator(デザイン コラボレーター)」)をモビリティ業界向けに、10月1日より販売を開始すると発表した。
同製品は、各ソフトウェア設計部門の設計情報や、ハードウェア部品の構成情報などを、AUTOSARやReqIFなど業界標準に則った連携フォーマット形式で収集する。
また、収集された設計情報を、車種、型式、部品、ECUといった軸で設計情報の構造化を行い、自動車開発における開発プラットフォームとして、ハードウェア・ソフトウェアの組み合わせ管理機能など、さまざまな価値を提供するという。
主な特徴は以下のとおり。
1.ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ管理による、開発期間短縮と開発コスト低減に貢献
自動車は、販売先の国・地域に合わせた規制への対応の違いや、オプションとして提供する装備の種類、マイナーチェンジやメジャーチェンジによる搭載機能の差異などにより、1つの車種でも多くのバリエーションがある。
バリエーションの中には、同一ハードウェアに異なるソフトウェアが搭載されている場合もあるなど、複雑なハードウェアとソフトウェアの組み合わせ情報を管理する必要があるという。
同製品では、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ情報を可視化し、類似の組み合わせで削減可能なバリエーションの特定の支援や、自動車開発のテスト工程で検証が必要なハードウェアとソフトウェアの組み合わせパターンを容易に抽出することができ、開発期間短縮や開発コスト低減が可能とのことだ。
2.コラボレーション開発の促進による、開発プロセス上流での品質作り込みを支援
自動車のメーター開発やエンジン開発などの各設計部門の設計情報を一元的に管理する。
さらには、自部門での設計情報と、関連する他設計部門の設計情報の関連性を可視化。
自動車に搭載されたECUは、自動車内のネットワークを介して、車両速度やハンドル操作など多くのデータをECU間でやりとりしている。
同製品では、開発プロセスの上流の設計段階において、データ送信側とデータ受信側のECU間での設計情報の相互参照を促し、部門間の設計に不整合があれば、アラートを表示。
これにより、設計段階から部門間のコミュニケーションを促し、開発プロセスの上流段階から、各部門が協調した品質の作り込みが可能になるとのことだ。
3.ソフトウェアや通信の設計情報を起点とした、設計変更時の影響分析業務を省力化
同製品では管理対象の設計データを、要件、ハードウェア、ソフトウェア、通信インターフェースの大きく4つに分類して管理。
開発途中で設計変更が必要な場合、ソフトウェアの設計担当者は変更対象のソフトウェアを起点に、他のソフトウェアだけでなく、ハードウェアへの影響まで調査することができるという。
また、通信設計の担当者は、通信インターフェース情報を起点として、影響を受けるソフトウェアを特定することができる。
これにより、場合によっては一か月程度かかることもあった影響分析の業務を、即座に行うことができるとのことだ。