NECは、生体認証「Bio-IDiom」の中核技術である顔認証技術を強化し、マスク着用時でも高精度な認証を実現する新たな顔認証エンジンを開発したことを発表した。

また同エンジンを、顔認証や様々な映像分析機能を組み合せて複合的なソリューションを実現する「NEC 映像分析基盤」や複数の生体情報を活用してマルチモーダル生体認証を実現するサービス「Bio-IDiom Services(バイオイディオム サービシーズ)」などの製品として、10月上旬から販売開始するとのことだ。

昨今、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、人々の暮らしや経済活動に大きな影響を与えている。

政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議ではNew Normalにおける基本的な感染対策にマスクの着用が挙げられているとのことだ。

それにともない、PCのログイン、施設の入退場や公共機関などにおける本人確認の用途で幅広く使われている顔認証にも対策が求められているという。

NECは従来から、マスクの着用に対応した顔認証を実現していた。

今回マスク着用に特化した顔認証エンジンを開発。顔認証は目、鼻、口などの位置や形、大きさなどの特徴点を抽出し照合を行うが、同エンジンはマスクで覆われていない目の周辺に重点を置いて特徴点を抽出、照合するという。

同エンジンを用いた顔認証プロセスは、まず、カメラで撮影し検出した顔画像から、マスク着用の有無を判定。次に、それぞれの場合で使用する顔認証アルゴリズムを切り替えて、特徴点の抽出と照合を行うとのことだ。

これによりマスク着用者と非着用者が混在しても、高精度な認証を実現するとしている。

同エンジンを用いた社内評価において、マスク着用時の1:1認証での認証率は99.9%以上と、高い認証精度を実現したことを確認したとのことだ。また様々な色や柄のマスクに対応し、高い実用性を有しているという。

NECは、DXに必要な生体認証・映像、AI、セキュリティ技術を統合し、アプリケーションからネットワークまでワンプラットフォームで実現する「NEC デジタルプラットフォーム」上で、「NEC 映像分析基盤」や「Bio-IDiom Services」などを用いたソリューションを開発することで、ユーザーのニーズに応じた価値を迅速に提供。

また、「Bio-IDiom Services」は「NECデジタルプラットフォーム」の顔認証のサービスとして提供を開始し、今後、他の生体認証も拡充する予定であるとしている。

同社は、強化した顔認証製品を活用したソリューションを、企業・教育機関・公共施設・商業施設・イベント会場・テーマパークなど、人が密集する場所での入退システムをはじめ、感染症拡大の抑制を支援するソリューションとして提供することで、New Normalにおける経済活動の継続に貢献するとのことだ。