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物流危機を「競争」から「共創」で乗り越える 競合49社が築く「JITBOXチャーター便」の挑戦

2024年4月、トラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用された。これに伴う輸送能力の低下などが懸念される、いわゆる「物流2024年問題」だ。

抜本的な対策が打たれなければ、2030年度には約34%もの輸送能力が不足すると試算されている。

しかし、2026年から本格的に施行された物流効率化法について、帝国データバンクの調べによると、荷主企業の約7割がその内容を「知らない」と回答した調査結果もある。人手不足が深刻化する中、社会を支える物流インフラをいかに維持していくのか。

今回は、国内の物流企業15グループ49社が結集した共同輸配送プラットフォーム「JITBOXチャーター便」を展開し、サステナブルな物流を牽引するボックスチャーター株式会社の代表取締役社長・柴﨑安利氏に話を聞いた。

ボックスチャーター株式会社 代表取締役社長 柴﨑 安利氏

1社貸し切りトラックの積載率はわずか「4割」 物流が抱える非効率

現代社会において、企業の多くが「トラック手配難」や「物流コストの高騰」を事業継続の重大なリスクとして捉え始めている。その背景にあるのが、物流ドライバーの平均3時間超に及ぶ「荷待ち」や、手作業による「手積み・手降ろし」といった現場の非効率な業務だ。

また、1社がトラック1台を貸し切って荷物を運ぶ「チャーター便」の積載率は平均4割にとどまり、実質「半分以上荷台が空いている」状態に陥っている。それにもかかわらず、荷主企業が個別にトラックを手配する貸し切り型の輸送は、現在も広く利用されている。

こうした非効率を解消するために生まれたのが、複数の物流企業が輸送網を共有する「共同輸配送」という発想だ。本来は競合関係にある企業が、なぜ手を組むことになったのか。

「その背景には、『各社が単独で輸送を担い続ければ、いずれ限界が来る』という深刻な危機感の共有がありました」

柴﨑氏は、ボックスチャーター株式会社設立の背景をそう振り返る。

「ボックスチャーター株式会社が設立された2002年当時、ヤマト運輸、西濃運輸、NXグループなど大手運送各社の経営層は、積載効率の低下やドライバーへの過度な負担といった、現在の『物流2024年問題』に通じる課題を予見していました」

その結果、本来であればシェアを争う競合各社が従来の競争の枠を越え、「ユニットロード化(配送単位の規格化)」と「共同輸配送モデル」という解決策を見出した。その結晶として2006年に誕生したのが「JITBOXチャーター便」だ。

荷物の積み降ろし時間を大幅に短縮する「ユニットロード化」とは

「物流業界での長時間労働やドライバー不足が深刻化する最大の要因は、トラックの『走行時間』ではなく、現場での手作業での積み降ろしやそれに伴う「荷待ち時間」にあると考えました。手作業によるバラ積みはドライバーの方々を疲弊させ、長時間労働の温床となってきたのです」

この物理的な課題に対し、荷物を一定規格にまとめて輸送効率を高める「ユニットロード化」の仕組みについて、柴﨑氏は次のように語る。

「手作業のバラ積みでは通常1時間から2時間かかる荷役作業も、JITBOXチャーター便のようなユニットロード化によって約15分で積み付けが完了します。キャスター付きのため積み替え時間も大幅に削減でき、長時間の荷役作業が発生しにくい構造となっています」

手作業のバラ積みでは「集荷・中継・配達」の各工程で計4.5時間におよんでいた荷役作業が、JITBOXチャーター便の活用で3.25時間へと短縮されるという。

さらに、2024年11月にリリースした「JITパレットチャーター便」は、標準パレット上に専用パネルを被せて発送するため、ドライバーの荷役時間は「ほぼゼロ」にできるとしている。

パレットとは、荷物をまとめて載せるための台のことだ。パレットを利用すれば、荷物を載せたままフォークリフトなどで積み降ろしすることができ、ドライバーがひとつひとつ手作業で運ぶ必要がなくなる。

物流効率化法で求められる「ドライバーの荷役時間削減」に対し、パレット化は荷主側の負担が発生するものの、物流全体で見れば大きな効率化につながっている。

環境負荷低減と企業価値の向上をもたらす「リターナブル資材」

そのほかにも、小ロット・多頻度輸送の拡大に伴い、物流現場では「環境負荷」と「輸送品質の維持」という新たな課題が浮き彫りになっている。

貨物を保護するために大量使用される段ボールや木枠などの使い捨て梱包資材は、現場の廃棄コストやCO2排出量を増大させる要因となってきた。さらに近年では、不安定な中東情勢などに伴う資材不足や価格高騰も追い打ちをかける。

一方で、1台のトラックに複数企業の荷物を載せる「共同輸配送」において、企業側が最も懸念するのが、荷崩れや紛失、破損などのリスクだ。環境への配慮を求められつつも、貨物の安全性を損なえないというジレンマが、共同輸配送への移行を阻む壁となってきたという。

「これらの課題に対して、JITBOXチャーター便は鉄製のカゴ車によってお客様のお荷物を外部の衝撃から守るため、事故発生率は0.04%を誇ります。

また、繰り返し使える『リターナブル資材』を活用すれば、さらに事故発生率を低減させることができるうえに、廃材の削減を図ることができます。

さらに、鉄製の柵で荷物を保護するため、他の荷物との取り違えや破損などのリスクを抑えることが可能です。

こうした特長から、荷物事故防止の観点からだけでなく、廃棄物やCO2排出量の削減を図りたい荷主企業からも評価されています」

物流は「全体最適」へのアップデートが不可欠な時代へ

ボックスチャーター株式会社は今後、Web上から簡単に見積もりが依頼できる「楽ラク運送手配」の活用や生成AIの導入を通して、輸送を依頼する機会のないオフィスワーカーや事業者でも手軽に発送できる環境作りを目指していく。

また、運送会社の新規加盟を通じ、共同輸配送プラットフォームの基盤をさらに広げていくという。

「これからのBtoB物流業界に求められるのは、各社が自社だけで効率化を図る『個別最適』から、業界全体で人材や車両を有効活用する『全体最適』へのシフトです。

持続可能で誰もが使いやすい商品を通じて、『商業貨物輸送の標準化』を推進していきたいと考えています。競合各社の垣根を越えた共創の力で、ドライバー不足が深刻化する中でも、社会に必要な物流を維持できる仕組みを築いてまいります」

人手不足とコスト高騰が深刻化する中、企業がそれぞれ個別に輸送手段を確保する「個別最適」の限界は目前に迫っている。

限られた人材や車両を各社が個別に確保するだけでは、社会に必要な輸送力を維持することが難しくなりつつある。持続可能な物流インフラへの根本的なアップデートが、現代の企業に求められている。

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