企業の50.0%が猛暑・酷暑で業務に支障 87.8%が対策を実施・検討、水分・塩分補給品の支給が最多
帝国データバンクは、全国の企業1,194社を対象に、猛暑・酷暑による事業活動への支障や対策に関するアンケート調査を実施し、結果を公表した。
■猛暑・酷暑で企業の50.0%に業務上の支障
調査の結果、最高気温が35度や40度を超える顕著な高温を記録した日に、業務や事業活動へ「大きな支障が出た」と回答した企業は6.5%、「やや支障が出た」は43.5%となった。両者を合計した「支障が出た」企業の割合は50.0%となり、企業の半数が猛暑日や酷暑日による業務上の影響を経験していたという。

「支障が出た」と回答した企業を業界別にみると、「建設」が73.6%となり、企業全体を23.6ポイント上回った。「農・林・水産」も66.7%と、企業全体を16.7ポイント上回っており、屋外での作業が多い業界ほど支障が生じやすい結果となったとしている。
支障の具体的な内容について、建設業の企業からは、現場作業で作業効率の低下が発生するため、休憩時間を増やし、短時間で内容の濃い作業を行うよう従業員に指示しているとの声が寄せられた。
自動車・同部品小売業の企業からは、高温となった整備工場内で従業員が熱中症になったとの回答があり、作業効率だけでなく、従業員の安全面にも支障が出ているという。
メンテナンス・警備・検査業の企業からは、発注先の理解と協力がなければ十分な熱中症対策を取れないのが現状であり、働く警備員を守るため、担当者が発注元に直接協力を求めているとの声も寄せられた。猛暑・酷暑対策を進めるうえでは、取引先の協力も欠かせないとしている。
医療・福祉・保健衛生業の企業からは、訪問介護サービスや入浴介助などの業務において、ポータブルファンや塩飴を活用し、熱中症対策に力を入れているとの回答があった。屋外作業の多い業界に加え、医療・福祉分野でも暑さへの対応が目立ったという。
一方、「支障は出ていない」と回答した企業は44.2%、「支障はなく、好影響を受けた」は1.5%となった。
「好影響を受けた」と回答した娯楽サービス業の企業からは、避暑地で事業を行っているため、暑い夏は歓迎しているとの声が寄せられた。繊維・繊維製品・服飾品卸売業の企業からは、暑熱対策商品を販売していることから夏場の需要が増え、前年より売り上げに貢献しているとの回答があった。
「支障は出ていない」と回答した情報サービス業の企業からは、今後は通勤者の移動時間帯における安全を会社としてどのように確保するか考えなければならないという危機感があるとの声が寄せられた。
専門サービス業の企業からは、屋外に出る場合は時間を調整しているとの回答があり、現時点で支障が出ていない企業でも、何らかの対策を講じている様子がうかがえたという。
■企業の87.8%が猛暑・酷暑対策を実施・検討
最近1~2年以内に、猛暑や酷暑への対策として新たに始めたことや、強化・拡充したことがあるか尋ねたところ、企業の87.8%が何らかの対策を実施または検討していた。
具体的な対策を複数回答で尋ねたところ、「水分・塩分補給品の支給」が61.2%で最多となった。次いで「空調設備や遮熱シート、扇風機の使用・増設」が47.8%となり、5割近くに達した。塩分タブレットなどの暑さ対策グッズを支給したり、空調設備や扇風機などの備品・設備を導入したりする企業が多くみられたという。

企業規模別にみると、大企業では「熱中症予防・重篤化防止の学習と周知」が61.2%となり、企業全体の41.4%を19.8ポイント上回った。
一方、中小企業では、「休憩時間の追加・延長」「臨時休暇の設定」「営業・就業時間の短縮」といった規則や規定による対策が多くみられた。これまで大企業を中心に整備されてきた制度面の対策が、中小企業にも浸透してきた様子がうかがえるとしている。
運輸・倉庫業の企業からは、前年から全てのドライバーに、深部体温を測定できる熱中症対策機器を支給しているとの回答が寄せられた。
建材・家具、窯業・土石製品製造業の企業では、水、お茶、スポーツドリンクなどの飲料水のうち3本を、全従業員に毎日無償で支給しているという。
帝国データバンクは、猛暑日や酷暑日への対策には公的な支援が欠かせないと指摘。取引先の協力も得ながら、柔軟な働き方ができる環境を整備する必要があるとしている。
【調査概要】
調査期間:2026年7月10日~7月14日
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国の企業
有効回答企業数:1,194社
<参考>
帝国データバンク『猛暑・酷暑に関する企業の動向アンケート』