誰もが“英語でつながる扉”を開ける社会へ 日本人の「話せない課題」に挑むQQEnglishの取り組み
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日本人が抱える「英語を話すことのハードル」
2025年度末に発表されたEF EPI(EF英語能力指数)によると、日本人の英語力が世界123カ国中96位と過去最低水準だった。
原因として、デジタルネイティブ世代では、字幕やアプリやSNSを通じて英語を理解する機会が増える一方、自分の言葉として話す・書く経験が相対的に不足しているとの指摘がある。その結果、日本では読む・聞く力に比べ、話す・書く力が伸びにくい傾向が続いているという。
この大きな課題にいち早く対応し、オンライン英会話で「対話力」の育成に積極的に取り組んでいるのが、QQEnglishだ。今回は、同社の代表取締役の藤岡 頼光氏に、主にフィリピン人講師によるマンツーマンのオンラインレッスンを提供している同社の取り組みについて話を聞いた。

AI時代、よりアウトプットが重要に
AI学習の普及により、知識の蓄積や発音チェックはかつてないほど手軽になった。しかし、その一方で「独学では継続できない」「いざという時に言葉が出てこない」といった課題を抱える学習者は少なくない。
事実、英語学習アプリ利用者への意識調査では、53.5%が利便性の裏側に潜む「強制力の欠如」と、AI相手では得られない「対面ならではの記憶定着」に直面していることが明らかになった。
インプットにおいてAIは非常に有効だが、実戦で不可欠な「瞬時の反応力」を養うには、AI相手では補いきれない圧倒的な発話量による訓練の必要性が示唆されている。藤岡氏は次のように話す。
「AIや字幕の普及によって英語を『理解する』ハードルは大きく下がりましたが、その分『自分の言葉で話す機会』は減っています。日本の弱点はまさにアウトプットにあり、理解できることと使えることの間に大きなギャップが生まれています。
英語は知識ではなく、使うことでしか身につきません。QQEnglishは、AIをインプットに活用しつつ、人との対話でアウトプットする環境を設計することで、この課題の解決に取り組んでいます。
グローバル化やAIの進展により英語を使って意思疎通する力の価値はむしろ高まっています。裏を返せば、日本人の英語力にはまだ大きな伸びしろがあるということです」
英語の反復トレーニング「カランメソッド」を導入
こうした背景から、今改めて注目されているのが「カランメソッド」だという。この英語学習メソッドは、AIが得意とする知識補完とは対照的に、反射的な「瞬時の発話」を徹底的に鍛え上げる点に最大の特長があり、通常の英語学習と比較して短時間でスピーキング力の向上を目指す学習法となっている。
カランメソッド公式では、日常会話が可能な中級レベル(ケンブリッジ英語検定B1)に到達するまでの学習時間について、一般的な学習では約350時間が必要とされるのに対し、カランメソッドでは約80時間が目安とされている。
さらに、上位レベルであるB2(ビジネスで英語を使えるレベル)についても、約160時間の学習時間が想定されており、反復による発話トレーニングにより短期間での英語力向上が期待できるという。
そのため、カランメソッドは短時間で膨大なアウトプットを繰り返す “英語の筋トレ”と称され、一般的な学習方法の約4倍というスピードでの学習進捗を可能にするとのことだ。
「カランメソッド導入のきっかけは、私自身のフィリピン留学での英語学習の原体験です。英単語を2,000語覚えても会話ができず、センテンスを丸暗記して繰り返す学習に切り替えたのです。
文法やリーディングにはあえて取り組まず、とにかく話すことを続ける中で、『英語は知識ではなく反復で身につく』と実感しました。
その経験をもとに出会ったのが、ダイレクトメソッドをベースにしたカランメソッドです。英語で質問され、即座に英語で答える反復を通じて、英語を英語のまま処理する力を鍛える学習法です。
QQEnglishとして導入するにあたっては、ロンドンに本部を置く認定機関と直接関係を構築し、認定校となりました。英語は筋トレと同じで、話すトレーニングをしなければ身につきません。明治大学との実証では、約80時間の受講でTOEICスコアが平均110点向上するなど、一定の成果も確認されています」

日本から「1番近い」英語留学地・フィリピンへの人気が急増
海外留学エージェントのリアブロードによると、2025年夏の短期留学先として、最も多く選ばれたのは「フィリピン」で、前年比116%という大幅な伸びを記録し注目されている。
円安や物価高の影響を背景に、学費・滞在費を含めた総費用の低さや、短期間での英語習得が可能な学習環境が評価され、フィリピンを選ぶ人が増加しているのだ。
QQEnglishは、正社員で雇用された「プロのフィリピン人教師」が教える、フィリピン・セブ島での語学留学事業を展開していることも特徴だ。金額面での手軽さでも、英語学習のきっかけを後押ししている。
「フィリピン留学の最大の価値は、『英語を第二言語として習得した人たちから英語を学べること』だと考えています。
フィリピンでは英語は公用語ですが、母語ではありません。タガログ語やビサヤ語など、地域ごとに異なる言語を持っているのです。つまりフィリピンの自身が、“英語を後から習得した学習者”です。
そのため、どこでつまずくのか、なぜ話せなくなるのか、どうすれば話せるようになるのかを、自分の経験として理解しています。学校教育も英語で行われるため、『英語で学ぶ』『英語で考える』トレーニングを受けているのも特徴です。
また、しばしばフィリピンは非常にホスピタリティが高く、相手の感情に寄り添いながら教える文化がある国と言われます。
『学習者としての理解×教える力×人間的なサポート』の3つが揃っている。これが、フィリピン留学が英語教育において高い評価を受けている理由だと考えています」

変化する英語学習の未来
英語学習を取り巻く環境は、AIの進化などによって大きく変化している。こうした中で、英語でのコミュニケーションのあり方や、求められるスキルにも変化が生じている。
「AIの進化によって、今後は『知っている英語』ではなく『使える英語』が評価される時代になると考えています。
私たちはこの変化の中で、『英語を話すインフラ』になることを目指し、マンツーマンレッスンで発話量を最大化するだけでなく、学校教育にもオンライン英会話を導入し、日常の授業の中で英語を実際に使う機会を提供しています。
英語は単なるスキルではなく、世界の情報に触れ、人とつながり、人生の選択肢を広げるための手段です。私たちが提供しているオンライン英会話やセブ島留学はすべて、その入口を日常の中に実装するための取り組みです。
英語ができることで初めて出会える人や機会があります。その扉を、誰もが開けられる社会をつくることが私たちの役割だと考えています」
AIの進化により翻訳や要約などインプットの効率が飛躍的に向上し、「理解する英語」は誰でも扱えるようになった時代。一方で、人と直接コミュニケーションする力の価値がむしろ高まってきている。
反射的な「瞬時の発話」を鍛える学習法や、フィリピンへの短期留学といった選択肢が広がりつつある。英語教育においては、アウトプットの量と質をいかに担保するかが、引き続き重要な論点となる。
その先頭に立つQQEnglishの挑戦は、日本人が当たり前に英語を話せる社会の実現に向けた指針となっていくだろう。