2025年に休廃業・解散・倒産した宿泊業は267件 2年連続で倒産件数が増加
帝国データバンクは、「宿泊業」における倒産発生状況について調査・分析を実施し、その結果を公表した。
■宿泊業の倒産、2年連続で増加。目立つ「老朽化」倒産
2025年に発生した宿泊業の倒産件数は89件となり、前年の78件から9件、率にして14.1%増加し、2年連続で前年を上回ったとしている。
また、2025年に発生した休廃業・解散は178件であり、倒産と合わせると年間で計267件の宿泊事業者が市場から退出したという。
訪日客を中心に「高単価・高付加価値」を求める需要が拡大する一方で、それに対応する設備投資ができない施設を中心に淘汰が進み、宿泊業界における「経営の二極化」が鮮明になっているとのことだ。

地域別に倒産・廃業の発生状況をみると、首都圏、京阪神、中京の三大都市圏を除く地方での発生が全体の75.3%を占めた。これは2022年以来3年ぶりに7割台に達し、コロナ禍前の2019年(77.2%)に迫る高水準だという。
大都市圏に比べインバウンド需要が限定的で、稼働率や客単価の回復が遅れた地方の小規模旅館やホテルを中心に、倒産や廃業が目立ったとしている。
倒産要因については、近年大きな変化がみられるという。政府による「実質無利子・無担保融資」の返済負担に加え、2024年以降に顕著となった人手不足、食材など原材料価格の上昇、光熱費の高騰といったコスト増に直面し、十分な利益を確保できず事業継続を断念する事例が増えていると分析している。
さらに、訪日客の増加とともに、富裕層を中心とした高付加価値な体験型サービスへのニーズが高まるなか、最新設備を備えた高単価施設に資本と人材が集中する一方で、コロナ禍で債務が膨らみ投資余力を失った老舗旅館や中小のビジネスホテルが市場から退出する事例も出始めているとのことだ。

具体的な倒産要因を分析すると、「老朽化」「修繕」「故障」といった要因を含むケースは直近5年間で58件、全体の14.6%に上る結果に。
コロナ前後の2016~2020年の13.0%、東日本大震災直後の2011~2015年の8.9%と比べても割合は上昇傾向にあり、設備の老朽化が経営を圧迫する事例が増加していることが明らかになった。
一方で、施設の老朽化や人手不足といった課題を抱えながらも、名物料理などによる根強い宿泊需要を背景に、スポンサー支援のもと事業再生に成功したケースも存在するとしている。
同社は、装置産業である宿泊業は、5年から10年周期でのリノベーションが不可欠であると指摘。その一方で、現状では設備投資の余力に乏しい中小宿泊事業者も多く、デジタル対応や老朽化対策の成否によって、宿泊業界における選別が2026年に向けてさらに進行する可能性があるとしている。
【調査概要】
調査内容:宿泊業の倒産・休廃業・解散の発生状況に関する調査・分析
集計期間:2000年1月1日~2025年12月31日
集計対象:負債1,000万円以上、法的整理による倒産
調査主体:帝国データバンク
備考:2026年2月6日にタイトルおよび内容を一部修正
<参考> 帝国データバンク『「宿泊業」の倒産は89件 2年連続で増加 目立つ「老朽化倒産」 訪日客増でも明暗、取り残された地方中小の行き詰まり目立つ』