東邦メディアプランニングは、全国の20代~50代の正社員300名を対象に燃え尽きに関するアンケート調査を実施し、結果を公表した。

■正社員の約4割が燃え尽きを経験。管理職層では5割超に。

全国の正社員300人に燃え尽きを感じたことがあるかを調査したところ、「よく感じる」7.3%、「時々感じる」30.3%となり、37.6%が自覚的に燃え尽きを実感していることが判明。

燃え尽きを感じたことがあるか

階層別に見ると、一般社員層は35%近くなのに対して、管理職以上の層は51.0%と5割を超えており、管理職の燃え尽きが深刻であることがうかがえる結果に。

階層別

■心理的安全性が高い職場では燃え尽き率が6pt低下

ボストン・コンサルティング・グループの調査によると、燃え尽きと密接に関係のある要素の一つにインクルージョンの実感度合いが挙げられており、インクルージョンの実感度合いには、心理的安全性が関係することが紹介されているという。

そこで同社は、同じく全国の正社員300人に職場の心理的安全性についての調査も実施。職場の心理的安全性を聞いたところ、高いは33.7%、どちらとも言えない43.7%、低いは22.7%となり、曖昧層が多い結果となった。

職場の心理的安全性

心理的安全性が高い層と低い層ごとに燃え尽きの度合いを集計したところ、燃え尽きをよく・時々感じると回答した割合は、心理的安全性が高い層が33.7%、低い層が39.7%となり、6ポイント近くの差が生まれ、心理的安全性の高さが燃え尽きに影響するであろうことがうかがえる結果に。

一方、心理的安全性が低い層では、燃え尽きをまったく感じない割合が23.5%と高い。

高い層の19.8%より高い割合となっており、燃え尽きを予防するためにそもそも会社に期待していない(=諦めている)可能性があると同社は考察している。

心理的安全性の違いによる燃え尽き経験の差

■燃え尽きの主因は業務過多と報われなさ。管理職は責任負荷、一般層は評価不満、リーダー層は停滞感が顕著。

燃え尽きを感じた理由を調査したところ、「仕事量が多すぎる/残業が多い」が33%となり、過剰労働からくる疲弊が燃え尽きの最大の理由であることがうかがえた。

2番目は「成果が見えづらい/達成感がない」28%、3番目は「努力が評価されていないと感じる」24%となっており、自身の努力が成果に結びついているかわからないことも燃え尽きにつながっていると同社は考察。

また、成長実感や機会の少なさも上げられており、成果の見えづらさや評価の不当さからキャリア停滞に燃え尽きを感じることもうかがえる結果に。

燃え尽きを感じた理由

また、階層別に燃え尽きの理由を分析すると、一般社員は「仕事量が多すぎる」が28.4%、「努力が評価されていない」が24.2%、「成果が見えづらい/達成感がない」が24.2%となり、全体と同傾向に。現場社員にとっては「努力の見えづらさ」と「報われなさ」が主なストレスであることがわかる。

リーダー/主任クラスでは「仕事量が多すぎる」が36.8%がトップで、次いで「成長機会の欠如」が33.3%となっており、管理職よりも自身の成長停滞への焦りが強く出ている結果に。

「人間関係が悪い」の19.3%も一般層より高く、板挟み層として人間関係へのストレスが顕著な一方、「努力が評価されていない」の17.5%は比較的低めとなった。

管理職以上は「仕事量が多すぎる」が46.9%と「成果が見えづらい/達成感がない」が40.8%と他階層と比べても圧倒的に高い結果に。

また、「努力が評価されていない」(30.6%)も高く、業務や責任に関する負荷と、その割には評価が受けられていないことによる燃え尽きを感じているようだと同社は考察している。

階層別の燃え尽きを感じた理由

■職場に求めるサポートは最多の34.7%。一方で、管理職ほど支援を求める声が強い。

燃え尽きに対して職場に期待するサポートの質問については「特にない」が34.7%で、もはや職場へのサポートを期待していない層が多数であることが判明。

具体的な対策としては、「業務量の適正化や人員配置の見直し」が29%、「有給休暇やリフレッシュ休暇など制度面の充実」が27.7%と、まずは過剰労働を抑える制度面での対策を希望していることがうかがえる結果に。

次点で「チームで協力・相談しやすい職場づくり」が24%となり、サポートを気軽に依頼できる環境を求めていると考えられます。

燃え尽きに対して職場に期待するサポート

続いて、階層別の結果を分析したところ、一般社員は、「特になし」が40.2%全階層の中で最も高く、職場への諦めが強い層と考えられる結果に。

リーダー/主任クラスでは「チームで協力・相談しやすい職場づくり」が29.8%と全階層の中で唯一1位の回答となっており、チーム作りに悩んでいることがうかがえる。

管理職以上は「業務量の適正化や人員配置の見直し」が44.9%と、他階層と比べてもかなり高く、業務負荷に強く苦しんでいることがうかがえる結果に。また、「特になし」が22.4%と全階層の中で最も低く、一般社員とは17.8%差。支援を求める意識が最も高い層と同社は考察している。

階層別の燃え尽きに対して職場に期待するサポート

■燃え尽き層はメンタルヘルス支援や休暇の整備を希望。一方でスキルアップの機会も強く求めている

続いて、燃え尽き層と非燃え尽き層ごとに会社に支援を求める項目を集計したところ、「メンタルヘルス支援やカウンセリング体制」が燃え尽き層では25.7%、非燃え尽き層では8.5%と17.2ポイントの違いがあった。

現在燃え尽きている層は相当な疲労感を覚えており、まずはメンタルサポートを早急に用意する必要があることがうかがえる。

また、「有給・リフレッシュ休暇など制度充実」が13ポイント差で2番目に差異が大きい項目となり、メンタルサポートだけでなく、物理的な休暇への要望も燃え尽き層に強く出ている結果に。

そして「キャリア支援・スキルアップ」が非燃え尽き層では7.6%であったのに対して、燃え尽き層は19.4%と11.8ポイント差が生じ、スキル面やキャリアパスへの不安から、将来への見通しのつかなさが燃え尽きの根底にある可能性も示唆された。

燃え尽きの有無による職場に期待するサポートの違い

<参考>
KeySession燃え尽きに関するアンケート調査