東急不動産と自然電力、帯広畜産大学内の垂直式営農型太陽光発電設備から12月に電力供給開始へ
東急不動産と自然電力は、共同出資で設立したリエネ自然ファーム(以下、新会社)が事業主体となり、垂直式営農型太陽光発電設備を帯広畜産大学の実証圃場内に整備し、電力供給開始に向けた最終検査・調整段階に入ったと発表した。電力供給は12月から帯広畜産大学向けに開始する予定としている。
同設備は、帯広畜産大学および自然電力グループの北海道自然電力との共同研究に活用され、十勝地域におけるカーボンニュートラルの推進と持続的発展への貢献を目指した大規模な実証研究が本格的に開始されるとのことだ。

十勝地域は大規模畑作が行われる一方で、農畜産業の現場では労働力不足や肥料・燃料価格の高騰などの課題を抱えているという。こうした中で、太陽光発電の導入ポテンシャルが高い地域特性を活かし、農業と再生可能エネルギーの両立を図る実証プロジェクトとして同取り組みを位置付けている。
東急不動産と自然電力は、営農型太陽光発電事業を共同で開発・推進するため新会社を設立し、新会社が事業者として帯広畜産大学とオンサイトPPAによる電力供給等契約を締結した。これに先立ち、帯広畜産大学構内では垂直型および傾斜型の太陽光発電設備による発電量比較のパイロット実験を行うなど、段階的に実証体制を整備してきたという。2025年10月には、同設備を設置した実証圃場で小麦などの作物栽培試験を開始しており、現在、生育評価等に必要なデータ収集が進められているとしている。
同設備は、農作物への影響や農業機械作業への干渉を抑えることを狙い、土地や地上空間の専有面積が少ない垂直設置型の太陽光発電設備を採用。垂直式太陽光発電設備は、モジュールが雪で覆われにくく積雪に強いことから、豪雪地帯でも導入が可能であり、冬季には地面からの反射光(アルベド効果)による発電量向上も期待できるとのことだ。
設備の主な仕様は以下の通り。
事業者:リエネ自然ファーム
設備名称:帯広畜産大学営農型垂直太陽光発電所
設備形式:営農型垂直オンサイトPPA(大学内で全量自家消費)
設置場所:帯広畜産大学 畜産フィールド科学センター内実証圃場
発電出力:DC 743.04kWp / AC 500kW(定格出力 743.04kW)
PVモジュール:645Wモジュールを1,152枚設置(両面受光型)
アレイ間距離:50m, 50m, 50m, 27m, 27m(下部農地面積 約15ha)
作付作物:小麦、甜菜(ビート)、金時豆、小豆、牧草等(輪作し大型農業機械を使用)
供給開始時期:2025年12月より帯広畜産大学への電力供給開始予定
また、両社および帯広畜産大学は、垂直式営農型太陽光発電に関して、以下の3つのテーマで共同研究を進めていると発表した。
1つ目は、十勝地域の基幹作物である小麦、豆類、甜菜、牧草などへの影響評価であり、作物の生育評価や土壌分析、防除時の防風効果の検証を2024年11月から2030年3月まで実施する。2つ目は、農業経営における経済性評価であり、営農型太陽光発電導入の経済性や労働時間への影響を、同じく2024年11月から2030年3月まで評価する。3つ目は景観評価であり、消費者評価手法を応用して農村景観への影響を検証する研究を2025年4月から2026年3月まで行う。
同共同研究では、垂直式太陽光発電設備の設置が基幹作物の栽培、農業経営、農村景観などに与える影響を多角的に評価し、地域農業と再生可能エネルギーの共存モデルの確立を目指すとのことだ。
東急不動産と自然電力グループは、同実証研究で得られた知見を活用し、持続的かつ競争力のある次世代農業の実現に向けた地域づくりを進める方針。両社は、地域課題の解決や地域の活力創出につながる再生可能エネルギーの地産地消システムの構築を進め、地域との協働を通じて十勝圏をはじめとする開発地域でGX(グリーントランスフォーメーション)推進に貢献していくとしている。