【社会を変えるSNS】自分の軸を持つことを大切に|濱田祐太郎のサステナブック

日々の暮らしのなかにあるサステナビリティを紹介する特集「サステナブック」。第34回に登場するのは、お笑い芸人の濱田祐太郎さん。先天性の視覚障がいを持ちながらも笑いを届ける濱田さんが、SNSで発信を続けることの魅力を語る。
- 【プロフィール】
- 濱田祐太郎さん
- 『R-1ぐらんぷり2018』王者。盲目のピン芸人として、自身の体験や時事ネタを交えて笑いを届けている。2025年6月に自身初のエッセイ『迷ったら笑っといてください』を上梓。
社会を変えるSNSでのコミュニケーション
——サステナブルなモノとして、SNSやYouTubeで発信することを伝えたいとのことですが、どのような点がサステナビリティにつながっていると感じていますか?
発信を続けることで、目の見えない僕らにとって少しずつ住みやすい環境へと変化していると実感できるところです。
僕のX(旧Twitter)やYouTubeには、フォロワーや視聴者から「目の見えない方が困っていても声をかけられなかったけれど、濱田さんの発信をきっかけに自然と声をかけられるようになった」といったDMやコメントが増えました。また、「点字ブロックの大切さに気づいた」といった声も多くあります。
発信することで、社会が少しずつ良い方向へ変わっていく。その影響や反響がダイレクトに返ってくるのも、僕にとっては大きな魅力です。

——SNSでの発信を始めようと思ったきっかけを教えてください。
ピン芸人の大会『R-1ぐらんぷり』で優勝したのですが、予想していたほどテレビ出演の機会が増えませんでした。そこで、劇場でネタをやる以外にも、自分の笑いや思いを発信できる場が欲しくてXを始めました。YouTubeやstand.fmは、先輩芸人に「小銭が稼げるぞ!」と言われたのがきっかけです(笑)。
目の見えない男の子を好きになったという女の子から相談のメッセージが来て、アドバイスをしたら実践してくれて。なんとその子たち今付き合っているんですよ! 役に立てて良かったなと感じますし、僕自身も元気をもらえます。
私なりのサステナビリティ
——視覚に頼らない暮らしのなかで「これはサステナブルかも」と感じることはありますか? また、モノ選びの基準はありますか?
そうですね。夜でも電気を付けないので、電力消費や電気代は抑えられていると思います。……あ、でも僕、暑がりなんでエアコンはめちゃくちゃ使うからトントンかもなぁ。
洋服を買う時は見える人と一緒に行って、デザインを説明してもらってから決めます。昔、付き合っていた子とTシャツを買いに行った時、「濃い紫色の水たまりみたいな模様があって、そこから骸骨が出ているカッコええデザイン!」と説明されたんですが、「いや絶対カッコよくないやろ」と思ってやめました(笑)。
——世の中にはテクノロジーの進化により便利になるものがある一方で、濱田さんにとっては不便に感じるものはありますか?
不便とは違いますが、VRは楽しみようがないですね。僕にとってはただの重たいゴーグルです。
それから、キャッシュレス決済は使いにくいどころか、そもそもクレジットカードすら持てません。作ろうとしても窓口では対応していなくて、「ウェブサイトのみの受付です」と言われてしまって……。音声ガイダンスはあっても、パスだのコードだの言われると難しいですからね。フォロワーさんから「デビットカードなら窓口で作れますよ」と教えてもらったので、今度作りに行こうかなと思っているところです。一応、交通系ICカードは持っているので、ちょっとした時はそれを利用しています。
——サステナビリティに関連して、こんな商品・サービスがあったらいいなと思うものはありますか?
自動運転の車が進化したら、いずれは目が見えない人でも運転できる日が来るんじゃないかなと期待しています。
先日、プライベートで大阪・関西万博に遊びに行って、スーツケース型のAIロボットが道案内をしてくれるサービスを体験しました。イヤホンから音声が流れて、こちらの質問にも答えてくれます。
大屋根リングを一周したのですが、人が多いと止まるんですよ。「人が多い東京駅なんか一生動かへんやろうな」とか、「あっちに大谷翔平がいるぞ!と嘘でも言わないと道開かなそう」なんて思いながら歩きましたね(笑)。
これはまだ実証段階ですが、いろんなものが便利になってきていると感じています。

——今後、私たちはサステナビリティとどのように向き合うべきだと思いますか?
自分の軸を持つことが大切だと思います。僕にとっての軸はお笑い。世の中には嫌なことがたくさんありますが、「おもしろい」と感じられるかどうかを大切にしてきました。お笑い芸人になれるかどうかもわからない中で、すべてのことをお笑いにどう活かせるかを常に考えて進んできました。
何事も、自分の理想とする世界をつくるには覚悟が必要です。覚悟っていう言葉はたいそうかもしれないけれど、自分の軸があれば、それが覚悟になって前に進んでいけると思います。