共感される行動の背景にある理由を明らかにするインタビュー企画。数多くのユーザーに支持されるクリエイターにA(Action)面とB面(Business)の両面から、その行動の原理を探ります。第13回に登場するのは、渡邉柊さん。A面ではInstagramをベースに美容知識を発信し、SNSで活躍の幅を広げる渡邉柊さんのパーソナルな部分をQ&A形式で解剖していきます。

【渡邉柊】
日本化粧品検定協会の会社員で、 正しい美容知識をわかりやすく発信している美容家。 女性のみならず、10代〜20代男性からも支持されており、 分かり易く美容商品を紹介するSNSや動画が今注目を集める。 化粧品ブランド「iRu-」の代表&プロデューサー。

YouTube: https://www.youtube.com/@shushu_223_
Instagram: https://www.instagram.com/shushu_223_
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TikTok: https://www.tiktok.com/@shushu_223_

渡邉柊のB面はこちら
面白さの追求とフォロワーの声で、誰にも真似されない動画を作る|渡邉柊のB面

都会やSNSに疲れちゃった

Q.普段最も使用するSNSは何ですか?

Instagramです。実は美容関連の投稿を見ることは少なくて、美容以外の趣味の投稿を見ることがほとんどです。最近は家を建てようと考えているので、内装やデザイン関連の投稿もよく見ていますね。

Q.訪問先(店)選びの際にはどのように検索し参考にしますか?

旅行が好きでよく行くのですが、その際はふるさと納税で旅館の宿泊券を購入することが多いです。Google検索で口コミを確認しつつ、最終的な決め手は写真ですね。特に客室露天風呂と自然の豊かさを重視しています。和の雰囲気や自然が好きというのもありますが、日常生活では都会で過ごす時間やSNSに触れる時間が多く、疲れちゃうんです。だからこそ、オフの時間は自然に囲まれてゆっくり過ごしたいという気持ちがあります。

Q今若者の間でトレンドとなっている商品やサービスなどはありますか?

「日焼け止め兼下地」や「化粧水・美容液・クリームのオールインワン」など、複数の機能が備わっている化粧品が流行っていると思います。最近の化粧品は美容成分が含まれていることは当たり前で、「化粧水」や「美容液」といった個別の概念が薄れつつあるように感じますね。それにより、化粧品がレベルアップしすぎて、メーカー側が全てを提供してしまっているような気もして。だからこそ、単に「タイパがいいから」という理由だけでなく、「これ一つで全部叶う」ものを消費者は手に取らされているのではないかと思います。

継続するから、のし上がっていける

Q.普段何をして過ごしていますか?

平日は会社員として10時から19時まで勤務をしています。仕事が終わると21時頃に帰宅し、ご飯を食べてからYouTubeで動画を見て、0時頃から動画を撮り始めます。その後編集し、3時に就寝、9時前に起きるという生活です。

Q尊敬している人、信頼している人がネット上にいますか?

レオザフットボールさんです。言語化能力がとても高く、難しい話を初心者にもわかりやすく伝える力があるところを尊敬しています。サッカーチームの監督もされていて、人の気持ちに寄り添いながらチーム全体の力を引き上げる力も素晴らしいと思います。真似をしようとは思っていませんが、言語化能力は部下の指導をする際にも必要な力なので、「自分もあんなふうになれたらいいな」と心のどこかで思うことがありますね。

Q仕事への考え方、何に重きをおいているのかを教えてください。

「継続すること」です。継続するからこそ、のし上がっていけると思うんです。ただ、そのためには好きであることが前提です。好きだからこそ続けられるし、最終的に好きなことにつながるから苦手なことでも頑張れる。新卒の時からこの考えで会社を選び、最初は化粧品メーカーに就職し、今も日本化粧品検定協会で働いています。

商品だけじゃなく、付加価値に魅力を感じる

Q.普段何にお金を費やすことが多いですか?

一番多いのはやっぱり化粧品ですね。話題の商品は必ず買いますし、新作はもちろん、殿堂入りした過去の化粧品を買うことも多いです。その他にも趣味が多くて、特に漫画が大好きで収集癖があるので、フィギュアにお金をかけることも多いです。

Q.商品購入までのプロセスを教えてください。(まずはどこで商品の存在を知り、どこでその詳細を調べるのか、最終的にどこで購入するのかなど)

化粧品でいうと、普段使っている定番のものは悩まずに買いますが、それ以外は、Xでトレンドになっているものを買うことが多いです。Xで気になる投稿を見たら、まずはショート動画でテクスチャーや使用感を確認します。購入を決めたら、デパコスは公式の通販サイトで、それ以外は配送が早いAmazonで買うことがほとんどです。

Q推しの存在はいますか?その存在がどう購買行動に影響を与えていますか?

イングランドのサッカーチームの「リヴァプール」が推しです。クラブカラーが赤なので、何か買う時に色で悩んだら、つい赤色を選びがちですね。あと、クラブのサプライヤーがナイキからアディダスに変わるので、もともとナイキが好きでしたが、これからはアディダスの商品を購入する機会も増えるかもしれません。

Q.推しの企業や印象に残っている企業はありますか?

化粧品ブランドの「dr365(ドクターサンロクゴ)」が好きです。商品の質が高いのはもちろんですが、消費者に対して優しいところがとても素敵だと思っています。例えば、配送箱の裏にメッセージが書かれていたり、手書きのメッセージカードが同封されていたりするんですよ。そうした付加価値の部分が好きで、僕のブランドの「iRu-(アイルー)」もその影響で、商品と一緒に手書きのメッセージを印刷したカードを添えるようにしています。

Q.最近気になった広告や企業のPRはありますか?

サントリーの「クラフトボス」のCMです。水中に飛び込んで、クラフトボスのボトルを追いかける一人称視点のCMになっています。映像の色鮮やかさと、フレッシュな雰囲気が良くて、水やスポーツ飲料でもないのに「のどが渇いた時に飲みたい!」と感じたのが印象に残っています。

和や自然、多彩な趣味を愛する渡邉さん。自分の好きなものを起点に、日々の生活や仕事が築かれていることが感じられる。SNSの発信からは、美容へのこだわりや向上心が感じられるが、それは「野心」というよりも、ただひたむきに好きなことを大切にし続けてきた結果ではないだろうか。その想いが動画にも表れ、見る人の心にも届いているのだろう。

文:安藤 ショウカ
写真:小笠原 大介