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oneは、全国の10代~60代の男女1,000人を対象に「インバウンド時代の日本人の意識と行動調査」を実施し、結果を公表した。
■インバウンド最前線!今年に入って「訪日観光客に話しかけられた人」は4人に1人
訪日観光客の増加が続くなか、観光地だけでなく、私たちの身近な日常でも“インバウンドとの接点”を感じる場面が増加。
全国の10代〜60代の男女1,000人を対象に行った調査では、2025年上半期に「訪日観光客に話しかけられたことがある」と答えた人が4人に1人、全体の25.0%にのぼる結果に。

最も多かったシーンは「道を聞かれた」72.8%で、続いて「写真撮影を依頼された」28.0%、「買い物について聞かれた」25.6%、「食事について聞かれた」21.6%など、日常のあちこちでちょっとした国際交流が生まれている様子がうかがえる。

観光庁のデータでも訪日観光客の増加が明らかになっているなか、日本人が“観光対応の最前線”に立つ場面は今後ますます増えていきそうだと同社は予測。
また、注目はそのときの気持ちで、最も多かったのは「緊張した」43.6%だが、「楽しかった」31.6%、「嬉しかった」28.8%といったポジティブな感情も少なくない。同社は、慣れない言語や文化に戸惑いながらも、日本人のなかに“国際交流の芽”が少しずつ育ちはじめていることが、今回の調査からうかがえたとしている。

■歓迎ムードばかりじゃない?「訪日観光客が増えるのは嬉しくない」人が65.2%
続いて、訪日観光客が増えることについて、どんなふうに感じているのかを聞いた結果、訪日観光客が増えるのは「嬉しくない」と答えた人は全体の65.2%(「あまり嬉しくない」37.7%、「嬉しくない」27.5%)と、半数を超える結果に。

不安に感じることのトップ3は、「マナー」65.0%、「治安」55.7%、「混雑」49.7%。いわゆる、オーバーツーリズムによって、ふだんの暮らしが影響を受けるのではという心配が根強くあることがうかがえる。

一方で、訪日観光客の増加に期待する声も。「地域経済の活性化」35.7%、「日本の良さを海外に伝える機会が増える」22.0%、「雇用の増加」18.9%、「インフラや公共サービスの改善」18.6%といった回答が並び、国際化や観光産業の広がりを前向きにとらえている人も少なくない。

自由回答でも、「経済の活性化」や「文化交流」など前向きな意見がある一方で、とくに「マナーの問題」については、厳しい意見が多く寄せられている。
<訪日観光客増加への肯定的な声>
・インバウンドで景気もよくなりますし、外国にいかなくとも交流できるので。(埼玉県、52歳、男性)
・日本の文化を知ってもらえたり興味を持ってもらえるキッカケになると思うから。(群馬県、26歳、女性)
・日本人がお金を使い辛い現状の中で日本にお金を使ってくれて有難い。(愛知県、35歳、女性)
・日本がそれだけ有名になった証拠。(大阪府、32歳、男性)
<訪日観光客増加への否定的な声>
・マナーが悪い人の対策がまったくできていないから。(岐阜県、26歳、男性)
・オーバーツーリズムで観光地にいっても宿は高いし、混雑するしいいことはない。(岡山県、58歳、女性)
・経済的にはいいと思うが防犯面など考えると個人的には嬉しくない。(新潟県、55歳、男性)
・言葉も通じないので注意もできないので疲れることが増える。(大阪府、50歳、女性)
■“当たり前”が実はすごかった!外国人の目で再発見された日本の魅力TOP5
同調査では、訪日観光客が増えるなかで、日本人自身があらためて自国の魅力に気づく場面が増えていることも明らかになったという。
観光客が増えたことで、「日本のここが魅力的だと感じたことは?」と聞いたところ、最も多かったのは「日常のマナー・ルール」40.0%。次いで、「交通の正確さ・鉄道」33.7%、「神社仏閣の美しさや歴史」31.1%、「日本庭園や街並みの美しさ」30.7%、「ローカルな食文化」25.3%と続く。

また、「観光立国ニッポン」に誇りを感じると答えた人は52.7%と過半数にのぼった。
これらの結果に同社は、インバウンドの増加は経済面だけでなく、日本人が自分たちの文化や習慣を見つめ直すきっかけにもなっているのかもしれないと考察している。

■67.2%が感じる“観光感覚のズレ”。一方、若い世代はポジティブに交流を評価
訪日観光客とのふれあいが日常の風景になりつつある中で、日本人が感じる“観光に対する感覚の違い”も、少しずつ表に出てきています。
同調査では、67.2%の人が「訪日観光客と日本人で感覚が違う」と感じていることが判明。

具体的には、「静かな場所でも大きな声で話していた」60.4%、「文化財や神社仏閣でのふるまいが気になった」41.8%など、文化の違いに戸惑いを覚える場面が多く挙げられまている。

一方で、10〜20代の若い世代では少し違った傾向も見られたという。
たとえば「観光地よりも日常的な場所(コンビニ・電車・住宅街など)に興味を示していた」40.2%(全体では29.5%)や、「現地の人とのふれあいを求める姿勢」22.1%(全体では11.9%)といった回答が、他の世代に比べて10ポイント以上高い傾向に。

“迷惑”と“好感”が入り混じるインバウンドの最前線。観光立国をめざす日本にとっては、観光マナーの共通理解とあわせて、異文化を受け入れ、交流を楽しむ「世代をこえた感覚づくり」も大切になってきているのかもしれません。
【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国の10代~60代の男女1,000人
調査実施日:2025年7月3日~7月4日
<参考>
one『インバウンド時代の日本人の意識と行動調査』