マンパワーグループは、2025年第3四半期(7月〜9月)の雇用計画に関する「マンパワーグループ雇用予測調査」を実施し、結果を公表した。同調査は、企業の雇用意欲を定点的に観測することを目的とし、世界42カ国・地域を対象に四半期ごとに行われている。

2025年7-9月期の雇用予測、日本は純+15%に上昇

今回の調査では、日本国内の東京・大阪・名古屋に所在する企業等1,049社から回答を得た。その結果、日本の季節調整後の純雇用予測は+15%となり、前四半期比で+1ポイント、前年同期比では+3ポイントの上昇となったという。

純雇用予測とは、「増員する」と回答した企業の割合(34%)から「減員する」と回答した企業の割合(19%)を差し引き、季節調整を行った数値。これは日本においては2006年第3四半期から適用されているものであり、各四半期の雇用動向を安定的に比較可能な指標であるとされる。

なお、世界42カ国・地域における純雇用予測の平均は+24%であり、日本の+15%はこれに比して控えめではあるが、全対象国・地域において「増員予定」となっており、雇用市場は全体として堅調であることが示されている。

季節調整後の各国別純雇用予測(%)

■日本国内9業種すべてで「増員予定」、通信サービスが大幅上昇

国内の業種別調査では、調査対象となった9業種すべてで増員が見込まれているとされる。中でも「通信サービス」業界における純雇用予測は+48%となり、前四半期比で+23ポイントと大幅な上昇を記録した。

業種別雇用予測

通信サービス業界では、過去3四半期連続で雇用予測が上昇しており、長期的な成長トレンドが続いているという。背景には、5Gの普及やデジタルトランスフォーメーションの進展、テレコム需要の増加、急速な技術革新などがあり、それに伴って既存人材では対応しきれないケースが増えているとのことだ。

このため、企業は新たなスキルを持つ外部人材の採用を強化しており、同時に、既存社員のリスキリングを加速する必要性も高まっているとされる。調査では、即戦力人材を社内講師やメンターとして活用し、組織内に知見を還流させる取り組みが今後さらに重要になると指摘している。

■組織規模別では「1,000〜4,999人規模」が最も高い雇用意欲

調査は組織規模別にも実施されており、6つの規模区分のうち「従業員数10人未満」を除く5つの規模で増員が見込まれている。「従業員数1,000〜4,999人」の企業が最も高く、純雇用予測は+27%となった。これは前四半期比で+2ポイントの上昇である。

組織規模別予測

多くの企業が「変化なし」と回答しており、雇用判断に慎重な姿勢を見せている一方、特定の業種や企業規模では積極的な採用意欲が見られるという。総じて、日本の雇用市場は大幅な回復基調とはいえないが、底堅く推移していると分析している。

<参考>
出典:マンパワーグループ『マンパワーグループ雇用予測調査