UMITO Partnersと山口県漁業協同組合室津支店定置網部会(以下、定置網部会)は、「山口県室津定置サステナブル漁業プロジェクト~漁師の魂プロジェクト〜」の発足を発表した。
同プロジェクトで、小型定置網漁業の自主的資源管理と藻場保全を通じて持続可能な漁業の実現を目指すとのことだ。

山口県上関町は、温暖な気候と複雑な海岸線を活かした好漁場に恵まれ、古くから漁業が盛んであり、中でも室津地区は、多様な海藻・海草が確認され、定置網周辺にはアマモが分布するなど、貴重な自然環境が保たれた地域だという。

一方、全国的に漁業を取り巻く環境は厳しさを増しており、過去10年で定置網部会の正組合員数も48人から25人まで減少、さらにコロナ禍で休業していた同漁業は2024年の再開時に業者が15人から6人まで減少。
また、アマモ等を餌とするアイゴが定置網に多く掛かるようになるなど、地域社会・経済・文化的な問題と生態系の変化が深刻化しているとのことだ。
こうした中、UMITO Partnersと定置網部会は、室津の定置網漁業にとって重要な6魚種(イシダイ・マダイ・ヒラメ・クロダイ・コショウダイ・スズキ)を対象とした自主的な資源管理と、藻場の保全に取り組むことで漁業の持続性を実現し、ブランディングによる収益性向上までを一体で捉えたプロジェクト設計を行ったという。

今後、定置網部会は「環境回復型漁業」の実現に向けて、活動計画に基づく取り組みを推進するとともに、ブランディングによる魚価の向上と漁業者の収入向上を目指したいとしている。
また、UMITO Partnersは、室津で漁獲された魚の販路を都内の提携店舗に繋げたり、PRイベント開催の支援をするなど、同プロジェクトを、漁業の持続性を実現し漁業者がネイチャーポジティブを目指しながら収益向上を実現するモデルとして広めたいとのことだ。
■プロジェクト概要
取り組み内容:
・小型定置網漁業において自主的に放流サイズを大きく設け、小さな魚を獲らない管理
・漁業者自らが漁獲データを収集
・県と連携し、魚が海にどの程度いるのか把握する資源評価を実施
・資源評価の結果に基づいた自主的資源管理の継続的な見直し
・植食魚(アイゴなど)を定置網で漁獲することでアマモ等への食害を抑制
・ブランド化を視野に入れた魚価の価値向上と販路拡大
・道の駅「上関海峡」にて親子を対象に小さな魚を放流する資源管理の体験と定置網で漁獲した新鮮な魚の販売イベントを定期的に開催(次回:6月7日予定)
・同プロジェクトに共感する飲食店との共同PRイベントの開催