商船三井は、名村造船所および三菱造船と共同で開発を進めていたアンモニア燃料対応の大型アンモニア輸送船の設計について、一般財団法人日本海事協会(以下、NK)より基本承認(AiP)(※1)を取得したと発表した。

同船は、ゼロカーボン燃料や水素キャリアとしてのアンモニア利用拡大、発電所でのアンモニア燃料転換の需要増加に対応するため、既存の大型LPG・アンモニア輸送船(VLGC・VLAC)よりも大容量の貨物槽を備え、低エミッション輸送を実現する設計だという。
特に、日本国内の主要発電所への入港制限を満たし、発電所やアンモニア供給基地との荷役時接続部の整合性を既存VLGCとほぼ同等に確保した点が特徴だとしている。
今回の基本承認取得に際しては、NKによる基本計画図面の審査とリスクアセスメント(HAZID)(※2)の結果を基本設計へ反映させ、詳細設計まで完了。HAZIDでは、アンモニアの毒性に関する安全性を最優先に評価・検討し、十分な対策を施した設計としている。
同社グループは、2050年までにネットゼロ・エミッションを達成することを目指しており、今後も脱炭素・低炭素社会の実現に向けて取り組んでいくとしている。
(※1)Approval in Principleの略で、新規技術や既存規則が詳細に規定していない分野において、専門家によりリスク評価を踏まえた設計基本承認
(※2)システムの潜在的危険性についてその大きさと発生頻度を専門家間で討議し、システム全体として十分な安全性を持つようにするリスク評価・管理手法