NEDOとKDDIは、1人の遠隔操縦者がドローン3機を太陽光発電施設3拠点で夜間に同時運航する実証に成功したと発表した。

1人の操縦者によるドローン3機同時運航イメージ

同実証は、NEDOの「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト(ReAMoプロジェクト)」の一環として行われたもので、太陽光発電施設内の銅線盗難対策など、警備業界の人材不足問題に対するドローン活用の有用性を評価することを目的としているとのことだ。

具体的には、3つの太陽光発電施設にドローンポートを配置し、ドローンのサーマルカメラを用いて人物検知を行う環境を整備。

これにより、1人の遠隔操縦者が複数のドローンを同時に運用することができ、警備の効率化や人件費の削減が可能であることと、ドローンの高性能カメラとAI解析により、異常を即座に検知し迅速な対応が可能となることが確認されたという。

今後、機体や運航管理システムの高度化(自動化・自律化)に伴い、操縦者の役割や運航管理体制も変化することが予想される。NEDOとKDDIは、同実証の知見を多数機同時運航に関する制度設計に役立て、警備業界の人材不足解消など、ドローンの社会実装に引き続き貢献していくとしている。

■実証について

実施内容
(1)1対多運航のシステム要件およびオペレーション要件の検討
(2)1対多運航に対応した運航管理システム開発
(3)飛行実証に向けた許可承認の取得
(4)複数空域における多数機同時運航を想定した飛行実証
(5)1対多運航の事業性検証

今年度実証の位置づけ

成果
・効率的な警備体制の構築
ドローンによる巡回監視により、広範囲を短時間でカバーすることができ、従来の人による巡回に比べて効率が大幅に向上する可能性があることを確認。

・コスト削減
1人の操縦者が複数のドローンを管理することで、警備にかかる人件費を削減することができる可能性があることを確認。

・AI(人工知能)アシスト機能による迅速な対応能力の向上
ドローンの高性能カメラを用いたリアルタイムのAI解析により、異常を即座に検知し、迅速な対応が可能となることを確認。

・異常同時発生時の課題確認
不審者の追跡や機体・システムの異常が同時に発生した場合の課題を確認し、今後のシステム機能や運航管理品質の向上に資するデータを取得。

遠隔操縦者1人で多数機同時運航を行っている様子/夜間不審者検知の様子