帝国データバンクは、保有する企業データベースのうち2024年1月-25年1月間に決算を迎えた企業財務データを対象に、企業の借入金利引き上げに対する影響度について調査・分析を実施し、結果を公表した。
なお、各平均値は上下各5%、計10%のトリム平均値を使用したとのことだ。
■借入金利「0.25%上昇」、企業負担は年68万円増加。経常利益約2%分の減益に相当
日本銀行は1月24日に開かれた金融政策決定会合において、政策金利を0.25%引き上げ、0.5%とすることを決定。政策金利の上昇は2024年7月以来、6カ月ぶり。
今後、日銀の利上げに応じて市場連動型の貸出金利のほか、メガバンクなどが貸出金利の参考とする短期プライムレート(短プラ)も上昇していくことが見込まれ、企業の資金調達などに影響が出るとみられている。
帝国データバンクは、過去1年間に決算を迎えた企業で長短借入金を含む有利子負債を有する約9.6万社を対象に、借入金利の上昇に伴う支払利息への負担や経常利益に与える影響について分析を実施。
借入金利の上昇幅は、+0.25%~最大+2.00%のシナリオを想定してそれぞれ試算。
なお、決算期末のデータに基づくため、借入金の返済・借り換え、追加での借り入れによる有利子負債の増減については考慮しないものとしている。
この結果、企業の借入金利が0.25%上昇した場合、企業では1社当たり平均で年間68万円の支払利息負担が新たに発生し、経常利益を平均2.1%押し下げることが分かったという。
また、経常損益が黒字から赤字へと転落する企業は対象9.6万社のうち約1700社・1.8%発生する試算となった。
なお、今後さらに追加で1.00%まで引き上げられた場合(現状+0.50%)、利息負担は年135万円の増加、赤字へと転落する企業は約3500社・3.6%の規模まで膨らむ可能性があるとのことだ。
業種別では、「不動産業」の受ける影響が最も大きく、借入金利が0.25%上昇した場合、利息負担は1社当たり平均で年間272万円の増加、経常利益ベースで平均5.5%押し下げられる試算に。
また、金利引き上げによって経常利益から赤字に転落する企業も3.8%を占めている。
最も負担が小さいのは「建設業」で、利息負担は1社当たり平均で年間21万円の増加、経常利益では1.6%減の影響にとどまったとのことだ。
<参考>
帝国データバンク『企業の借入金利引き上げに対する影響度について』