「飲食店ドットコム」を運営するシンクロ・フードは、飲食店を対象に「年収の壁」問題についての意識調査を実施し、結果を公表した。
■アルバイト・パートを雇用する飲食店の40.4%で「働き控え」発生
最初に、現在自店で雇用しているアルバイト・パートスタッフの人数について聞いたところ、最多は「1~3名」で30.2%。次いで「0名(アルバイト・パートスタッフの雇用なし)(25.2%)」、「4~6名(15.1%)」、「7~9名(10.4%)」と続き、10名以上の雇用がある店舗は19.1%という結果に。
次に、アンケート調査を実施した2024年12月時点で「年収の壁」の影響によるパート・アルバイトスタッフの「働き控え」が発生しているか聞いたところ、最も多かったのは「まだ発生していない」で、59.7%。
一方で「発生している」との回答も40.4%にのぼり、全体の28.6%が「10月までに発生している」という結果となった。
■年収の壁・支援強化パッケージ「具体的に知っている」飲食店は6%
こうした背景がある中で、2023年10月に政府が発表した施策「年収の壁・支援強化パッケージ」について、どの程度の認識があるかを聞いたところ、最多は「ほとんど知らない」で42.5%を占めた。
次に「聞いたことはあるが、内容は知らない(29.2%)」、「ある程度の内容まで知っている(22.3%)」と続き、「具体的な内容まで知っている」との回答は6%に留まるかたちとなっている。
さらに「年収の壁・支援強化パッケージ」による支援の利用状況を聞いたところ、60.1%が「(利用するか)分からない」と回答。
次いで「支援申請する予定はない(31.4%)」、「支援申請を準備・検討している(6.6%)」と続き、「(既に)助成金などの支援を受けている」という店舗は0%。
その上で「支援申請する予定はない」と回答した店舗にその理由を聞いたところ、最も多かった回答は「申請対象外だから(49.0%)」でおよそ半数以上。
次に「制度内容を理解できていないから(30.0%)」、「申請手続きが煩雑だから(16.0%)」、「制度の申請方法が分からないから(15.0%)」という結果となった。
■約7割の飲食店が「103万円の壁」引き上げに賛成。「物価や賃金の上昇に見合わない」
こうした中、飲食店では「年収の壁」による働き控えに対してどのような予防策・対策をしているか聞いたところ、61.0%が「特に対策はしていない」と回答。
一方で、「働き控え分の人員補填をする(23.3%)」、「年末に集中しないように、前倒しでシフト調整する(18.9%)」といった回答もあり、店舗ごとに地道な工夫や努力を行っている様子も垣間見られた。
2024年12月20日、政府与党は令和7年税制改正大綱を決定し、「年収103万円の壁」について、123万円へ引き上げる方針を示したが、同アンケートでは先んじて「103万円からの引き上げ」という部分のみで賛否を調査(アンケートは2024年12月12日~18日に実施)。
その結果、「賛成」74.5%、「反対」5%となった。
【調査概要】
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:318
調査期間:2024年12月12日~2024年12月18日
調査方法:インターネット調査
回答者:調査協力した回答者のうち67.9%が1店舗運営、回答者のうち東京にある飲食店の割合は49.7%(首都圏の飲食店の割合は66.9%)。
<参考>
シンクロ・フード『「年収の壁」問題についての意識調査』