パナソニックは、水素を活用したエネルギーソリューション「Panasonic HX」をドイツのオフィスビルに導入し、2025年春より電力需給運用の実証を開始すると発表した。

同社は、電子デバイスや産業デバイスの販売を行うパナソニック インダストリー ヨーロッパのドイツ・オットブルンにある2棟のオフィスビルのうち1棟で、純水素型燃料電池と既設の太陽電池、蓄電池を組み合わせ、100%再生可能エネルギーによる自家発電を行うという。同実証設備は2024年10月に着工済みで、完成後には3種類の電池を連携させた高度な電力需給制御が可能になる予定だとしている。

Panasonic HXは、必要な電力需要や設置環境に応じて連結可能な5 kWおよび10 kWタイプの純水素型燃料電池を用いるシステムであり、太陽電池や蓄電池と組み合わせて運用されるという。これにより、電力需要や天候の変動に対応した効率的な電力需給調整が可能になるほか、発電の余剰やムダを最小限に抑える仕組みが備わっている。また、地産地消型の分散型エネルギーパッケージとして、災害時のレジリエンス性向上や、長寿命化、無停電メンテナンスを実現するなど、高い保守性を提供するとのことだ。

パナソニックはこれまで、日本国内の滋賀県草津拠点や英国ウェールズ・カーディフにある工場において、水素を活用した再生可能エネルギーによる電力需給運用を実証してきたが、オフィスビルでの実証は今回が初めてとなる。ドイツの実証では、新製品となる10 kWタイプの純水素型燃料電池が採用される予定だとしている。