NPO法人全国子どもアドボカシー協議会は、全国の児童相談所設置自治体79自治体(47都道府県、32市区町村)を対象に、「子どもの意見表明等支援(子どもアドボカシー)事業」の実施状況や課題を把握するためのアンケート調査を実施し、その結果を公表した。
■「子どもの意見表明等支援事業」の実施状況
同調査で、児童相談所設置自治体における「子どもの意見表明等支援事業」の実施状況を見ると、61自治体のうち77.0%(47)が「実施している」と回答し、21.3%(13)が「実施していないが、整備に向けて準備している」、1.6%(1)が「実施する予定はない」と回答。
また、活動する実施主体は、児童相談所設置自治体から民間団体への委託等が69.6%(39)と最も多く、児童相談所設置自治体から個人へ委嘱は30.4%(17)という結果に。
委託されている民間団体の属性を見ると、「アドボカシー事業のみを実施している法人」が28.6%(8)と最も多く、次に「アドボカシー事業を含む複数のこどもに関する事業を実施している法人」25.0%(7)と続いた。
■意見表明等支援員の属性
意見表明等支援員の人数を階級別に見ると、1〜10人が52.6%(20)と最多であり、次に11〜20人(4)が15.8%、21〜30人と31〜40人がそれぞれ10.5%(2)と続いた。40人以下は89.4%(28)であり、多くの団体が少数の支援員で活動していることが明らかになった。
また、所属する意見表明等支援員の性別では、女性が80.5%(541)と最も多く、年代別に見ると、50代以上が48.8%(282)と最も多い年齢層であった。
■支援員の活動場所
意見表明等支援員の活動場所は、一時保護所が91.3%(42)、児童養護施設が71.7%(33)という結果に。
■事業の課題
活動の課題について聞くと、「意見表明等支援員の確保」が最も高く51.0%(25)、次いで「予算関連」が46.9%(23)、「児童相談所・児童養護施設・里親等との協力促進·関係調整」が44.9%(22)と続いた。
個別の課題では、「離島派遣時の航空機・宿泊手配による予算への影響」「施設や意見表明等支援員等での事業に対する温度差」などが挙げられた。
■育成・報酬
事前研修(養成研修:基礎講座、養成講座等)と活動後研修(講義、定例会、SV会議等)の実施状況を聞くと、「事前研修と活動後研修を団体で実施している」が50.0%(26)という結果に。一方、「研修実施の目途が立っていない」が19.2%(10)であり、研修体制の確立が課題であることが示唆された。
意見表明等支援員の報酬については、「支給している」が95.2%(40)、「支給していない」が2.3%(1)という結果に。
■運営体制と連携
事業実施・準備中の自治体において、こどもの意見表明を審議する権利擁護部会等が「設置されている」と回答したのは82.5%(33)にのぼった。
一方、意見表明等支援活動の運営体制として、SV(スーパーバイザー)、トレーナー(養成プログラムの企画・提案を実施)、コーディネーター(アドボケイト派遣や意見表明に関して、こども・関係機関・アドボケイトの調整を実施)の配置について確認した結果、「コーディネーターを配置している」が44.7%(21)と最も多く、次に「SVを配置している」が40.4%(19)、「トレーナーを配置している」が12.8%(6)と続いた。
【調査概要】
調査対象:
児童相談所設置自治体79自治体(47都道府県、32市区町村)の「子どもの意見表明等支援事業」の実施者
回収数:77.2%(61自治体)
調査方法:オンラインで実施
実施期間:2024年10月2日〜11月15日
<参考>
NPO法人全国子どもアドボカシー協議会『【全国アンケート調査結果】「子どもの意見表明等支援事業を実施している」自治体77%(47地域)。昨年度に続き「意見表明等支援員の不足」「予算関連」の課題を抱える自治体が多数』