石川県、石川県警察、KDDI、ローソンは、ローソン店舗の屋根に設置したAIドローンを使い、捜索や事故時の初動対応など警察活動の高度化に向けた「地域防災コンビニ」の実証に成功したことを発表した。

実証の様子

同実証は、地域活性化と能登半島地震からの創造的復興の推進を目的とする「石川県とKDDIの包括連携協定」に基づき、日常と災害発生などの非常時を区別しない「フェーズフリー」をコンセプトに実施。

ドローンを事件・事故時の初動対応といった日常の警察活動に活用することで、非常時にもドローンを迅速に利活用する体制の整備を目指しているという。

同実証では、七尾警察署(石川県七尾市)からAI制御により障害物を自動回避しながら安全に自律飛行が可能なドローン(Skydio X10)を、ローソン七尾小島町店から行方不明者の捜索現場や交通事故現場と見立てた場所まで飛行。

現場到着後、AIドローンのサーマルカメラや高精度カメラ映像を通じて、石川県警察とKDDIが連携し、遠隔で現場確認までの初動対応を行い、警察活動への活用の可能性を確認したとしている。

4者は今後、AIドローンを活用した災害発生時の被災状況の確認に加え、警察活動への活用の可能性についてさらなる検討を進め、地域の安心・安全を見守る「地域防災コンビニ」を展開し、石川県の「創造的復興」を目指すとのことだ。

■実証概要

ローソン七尾小島町店の屋根に設置したSkydio X10を使い、災害発生などの非常時や日常で発生しうる行方不明や事故を想定した2つのシナリオの実証を七尾警察署からレベル3.5飛行で実施。

なお、ドローンの運航はKDDIスマートドローン協力のもと実施したとのことだ。

(1)行方不明者の捜索
ローソン七尾小島町店から直線距離で約1km先の小丸山城址公園を行方不明者の行き先地と見立て、ドローンで行方不明者の捜索を実施。ドローンのサーマルカメラを活用することで、上空から迅速に行方不明者を発見することができたとしている。

飛行ルート/ドローンのサーマル映像

(2)事故時の初動対応
ローソン七尾小島町店から直線距離で約5.1km先の能登島大橋駐車場を交通事故現場と見立て、ドローンの高精細カメラ映像から事故現場の確認までの初動対応を実施。通常、車で移動すると約15分かかるところ、ドローンでは交通状況に左右されず、約8分で急行することが可能だったという。

また、ドローンの映像を元に3Dモデルを作成することで、事故現場を立体的に把握でき、担当者が現場に向かわずに遠隔で状況を確認できることを実証。

飛行ルート/ドローンの映像から作成した3Dモデル

使用機体Skydio X10
メーカー:Skydio
特徴:AI搭載、暗所での自律飛行が可能
大きさ(幅x奥行x高さ):789x650x144mm
最大飛行時間:40分

Skydio X10

各者の役割
石川県:飛行フィールドの提供
石川県警察:実証シナリオの策定
KDDI:実証全体の企画・統括
KDDIスマートドローン:ドローンの運航
ローソン:ドローンの設置場所の提供