パナソニックエナジーは、東洋製罐グループホールディングスの連結子会社であるTOMATECと共同で、同社製の使用済み乾電池から分離した亜鉛やマンガンなどの成分を含む混合粉末(以下、ブラックマス)を微量要素肥料(※1)の原料に活用するリサイクルプロセスを確立したことを発表した。
また、この電池由来の肥料を2024年度中にTOMATECから販売開始するという。
同社は、乾電池の新たな価値拡張を目指し、これまでも使用済み乾電池を電池材料にリサイクルする実証実験など、さまざまなパートナー企業と協力し、使用済み乾電池を有効な資源として活用する方法を模索してきたとしている。
その中で、2023年から微量要素肥料分野のパイオニアであるTOMATECと協議を開始し、実証試験を重ね、2024年9月に同社製の使用済み乾電池を原料とする熔成微量要素肥料のリサイクルプロセスを確立。
リサイクルプロセスでは、同社が使用済み乾電池からブラックマスを分離し、TOMATECがコーティング、封止、絶縁などさまざまな特性を利用した機能性ガラスに加工する独自のガラスフリット化技術を用いて、その混合粉末を原料に熔成微量要素肥料化を行うという。
農業分野における乾電池リサイクルは、同社初の取り組みとのことだ。またTOMATECも電池由来の原料で熔成微量要素肥料を製造、販売することは初めてだとしている。
微量要素肥料は、作物や土壌に添加することで作物の成長を促進し、土壌に不足しているミネラルを補う役割を果たす。また、より効率的な作物栽培、食料生産の安定化、土壌の健康維持など持続可能な農業に貢献するとしている。
(※1)植物の生育に必要な微量要素を含む肥料で、微量要素には、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)などが含まれる
(※2)使用済み乾電池に含まれる亜鉛・マンガンを溶融し、ガラス化することで還元され、作物が吸収しやすい状態にするプロセス