ここ十数年で世界は急速なIT化が進み、誰もがさまざまな情報にアクセスできる環境が整った。その結果、多くの情報を適切な方法でインプットし、実際に行動する際に適切にアウトプットをする能力が求められている。

一方で、膨大な情報を日々処理する中で、多くの人の脳が疲弊し、本来のポテンシャルを十分に発揮できていないのが現状だ。このような状況を「疲れ」や「年齢」のせいにしてしまい、脳への適切なアプローチを知らないまま、自身の潜在能力を活かしきれていない人も少なくない。実際のところ、世界中の実証研究をもとに脳の機能や潜在力を理解し、正しく活用することが最も重要であり効果的だ。

今回、脳が本来持つ力を発揮させるための「脳のメンテナンス」と「脳力向上」について、明治大学教授の堀田秀吾氏に話を伺った。

堀田秀吾氏は、多様化する情報社会の中で脳を適切にメンテナンスし、変化に対応する力を育むことを目的とした「Self -Control Academy」を9月29日に開講した。このオンラインアカデミーでは、「脳を知る」「脳メンテナンス」「脳力向上」の3つを軸に、脳のポテンシャルを最大限に引き出す方法を学ぶことができる。「脳力」の最大化を通じて、日常生活や仕事において最高のQOLを実現するサポートを目指している。

「Self-Control Academy」を開講の背景

多様な情報社会の中で脳をメンテナンスし、変化に対応する力を育むために開講された「Self-Control Academy」。このアカデミーは「脳力」の最大化を目指し、日常生活や仕事において最高のQOLを実現するためのサポートを提供する場である。学長を務める明治大学教授の堀田秀吾氏は、オンラインアカデミー開講の背景にある思いについて次のように語る。

「昨今の急速なIT化により、私たちは日々膨大な情報にさらされています。この情報過多の時代において、適切な情報を選択し、それを活用するための脳の機能が、かつてないほど重要になっています。しかし、多くの方が情報処理による脳の疲弊を「単なる疲れ」や「年齢」のせいにしてしまい、脳、そして一人ひとりが本来持つポテンシャルを発揮できていません。しかし、世界中の実証研究が示すように、脳の機能や潜在力を正しく理解し活用することこそが、この課題を解決する鍵となります。

本アカデミーは、みなさんの脳が本来持つ力を最大限に引き出すために、科学的根拠に基づいた脳のメンテナンス方法と脳力向上プログラムを提供することを目指して開講いたしました」

「Self-Control Academy」学長 堀田秀吾氏

「脳メンテナンス」とは? 脳のポテンシャルを引き出すために必要な3つの軸

普段の生活ではあまり聞き馴染みのない「脳メンテナンス」。この言葉の意味について、堀田氏に話を聞いた。

「『脳メンテナンス』とは、脳の機能を最大限に発揮させるための脳科学的アプローチです。日々の生活で経験する、例えば『やる気が出ない』『ストレスで食生活が乱れる』といった状況は、決して個人の意思の弱さや性格の問題ではありません。これらは、脳の仕組みを理解し、適切にケアすることで改善できる症状なのです」

前述のとおり、同アカデミーでは、「脳を知る」「脳メンテナンス」「脳力向上」を自身の脳のポテンシャルを引き出すために必要な3つの軸としている。1つ目の「脳を知る」は、自分自身の脳を知り、人間の思考と行動の特性を理解することを指す。2つ目の「脳メンテナンス」は、脳の機能を最適化するためのさまざまなメンテナンス法を理解することを意味する。3つ目の「脳力向上」は、記憶・判断・意思決定・創造といった能力を脳のポテンシャルから最適化する方法を学ぶことである。

「適切な脳メンテナンスを行うことで、ストレス耐性の向上、集中力の維持、感情のコントロールが可能となり、結果として仕事効率の向上や、より健康的なライフスタイルの実現につながります」と堀田氏は言う。

また、3つ目の軸「脳力」について堀田氏は以下のように語る。

「『脳力』とは、判断力、意思決定能力、創造力など、脳の持つ多様な機能を最大限に活用する力です。

本アカデミーの『脳力向上講座』では、①記憶力と集中力の向上、②正確な判断力と意思決定能力、③モチベーションと行動の起こし方、④創造性の向上、⑤効率的な情報処理能力の5つを主に学ぶことができます。これらのスキルは、ビジネスシーンだけでなく、日常生活におけるさまざまな場面で即座に活用できる実践的なものです」

3つの軸を正しく学ぶことで、同アカデミーの教育理念である「多様な情報社会の中で脳をメンテナンスして脳力を育む」を習得することに近づけるとされている。

堀田氏が掲げる「Self-Control Academy」のキーポイントとは?

堀田氏が提唱する「Self-Control Academy」の核となるのは、脳科学に基づいた「セルフコントロール力」の涵養である。このアカデミーを通じて、脳の働きを正しく理解し、感情や行動をコントロールする能力を身につけることが目指されている。

「本アカデミーでみなさんに身に付けていただきたいのは、脳科学に基づいた自己の感情や行動をコントロールする「セルフコントロール力」です。脳科学の観点から見ると、自分の思考や感情、行動というのは脳の働きによって決定されており、セルフコントロール力を養うにはどのように脳を使うかが非常に重要になってきます。

本アカデミーでは、さまざまな講義を通して、脳の健全な働きを保ち、ストレスの管理や効率的な情報処理を実現するセルフコントロール力を涵養していきます」

脳について学ぶことは、私たちがこれまで見過ごしてきた自分自身への理解を深めるきっかけとなる。これにより、セルフコントロール力を身につけるだけでなく、新しい可能性を広げることもできるかもしれない。

人生をより豊かにする「深化と進化の場」となることを目指して堀田氏は次のように語る。

「本アカデミーは単なる知識提供の場ではなく、受講生の方々の人生をより豊かにする『深化と進化の場』となることを目指しています。 現代社会において、多くの方が日々のストレスや情報過多に押しつぶされそうになり、本来持っている素晴らしい可能性に気付かないまま過ごしています。

しかし、適切な脳メンテナンスの方法を身につけ、セルフコントロールができるようになることで、誰もが持つ無限の可能性を開花させることができるのです。

私たちはこのアカデミーを通じて、受講生一人ひとりが『自分にもできる』という自信を取り戻し、より充実した人生を送れるようになることを願っています」

急速なIT化が進む現代では、適切な情報のインプットとそれを行動する際にアウトプットをする能力が求められている。 これからの社会において、

脳の機能を最大限に発揮させる「脳メンテナンス」の重要性はますます高まるかもしれない。