東日本旅客鉄道（JR東日本）は、新幹線における「スマートメンテナンス」を12月から本格始動すると発表した。
JR東日本グループでは、新幹線の安全安定輸送にむけて、線路の健全性を確認する点検や検査を日々実施。
今回、2種類の新幹線モニタリング車（「SMART-Green」と「SMART-Red」）と新たに開発した業務システム「S-RAMos+」を導入することで「スマートメンテナンス」を実施。高頻度の検査およびビッグデータの分析により、劣化予測の精度を高め、CBM（※）を実現するとしている。
これにより、線路点検などの安全性・品質・生産性向上を図るとともに、これまで人の手で行っていた業務を一部システム化することで社員の働き方改革を推進するという。
今回の「スマートメンテナンス」では、2種類の新幹線モニタリング車は連結して運転することで、少人数で線路の検測を行うことが可能に。
＜新幹線モニタリング車の役割＞
SMART-Green：レール内部に発生する傷など状態を点検、検査する保守用車（レールモニタリング車）
SMART-Red：まくらぎ等の状態を点検、検査する保守用車（線路設備モニタリング車）
また、2種類の新幹線モニタリング車とともに今回導入する業務システム「S-RAMos+」では、測定データの処理から技術者の確認・判断に至るスマートメンテナンスのプロセスを、一つのプラットフォーム上で実施可能に。
モニタリングした画像から、修繕が必要な箇所を自動判定・提案する機能を有しているという。
■「スマートメンテナンス」の導入スケジュール
2023年6月から稼働している「SMART-Green」に加えて、2024年12月から新たに「SMART-Red」1台が東北新幹線の一部エリアで稼働。「SMART-Red」の稼働に合わせ2024年12月から「S-RAMos+」を使用開始。
さらに、2025年度末までに「SMART-Red」を計4台導入し、「SMART-Green」1台、「SMART-Red」4台の計5台でJR東日本の新幹線全線をモニタリングするという。
また、新幹線モニタリング車を用いた「スマートメンテナンス」について、他鉄道会社への展開も検討するとしている。
（※）Condition Based Maintenanceの略で、設備状態に応じて最適な時期に補修を行うメンテナンス手法