ウブンは、Amazon Marketing Cloud(以降、AMC)を用いて、2023年11月〜12月に実施されたAmazon「ブラックフライデー」期間中のユーザー動向を調査し、結果を公表した。
■商品購入するユーザーの64%は、ブラックフライデー前までに商品ページを初回閲覧
ブラックフライデーで購入したユーザーの約64%は、ブラックフライデー前日までに初回閲覧をしていることが判明。一方で、他のセールで前日までに商品ページを初回閲覧する割合は、プライムデーが48%、プライム感謝祭が30%となった。
ブラックフライデーは、他のビックセールと比べて、催事前に商品を閲覧し購入するユーザーが64%と高いことがわかりました。
これは、ブラックフライデー自体が小売業界全体で実施される大規模なセールとして、Amazonの他セールより知名度が高いことが要因の一つとして考えられます。
また、Grocery(食品・飲料・お酒等)では、他ジャンルと異なり、ブラックフライデー前に閲覧をした上で、ブラックフライデー期間で購入するユーザーが目立ちました。
Groceryは普段スーパーで買うような消耗品が多く、ユーザーが日常的にAmazonで商品を見る機会が多いことから、事前に商品を閲覧する割合が高いと想定してます。ブラックフライデーという世の中的な催事の認知もあって、ブラックフライデーのタイミングで備蓄も含めてお買い得に買ってしまおうというユーザーが多いと推測されます。
また、購入ユーザーのうち、セール本番前半で初回閲覧したユーザーは75%がそのまま購入しているのに対し、ブラックフライデー先行セールで閲覧したユーザーは、45%程度がその場での購入せずに、本番を待って購入している結果に。
同様に、ブラックフライデー前にチェックしていたユーザーも先行開始後すぐに買うのではなく、セール本番を待って購入しているユーザーが多い結果となり、先行セールまではまだまだ下見をしていると同社は考察している。
■ブラックフライデーでの売上向上には、商品同士の回遊施策を講じること
ブラックフライデー期間より前に多く閲覧したユーザーほど、ブラックフライデー期間でのCVR(コンバージョンレート:購入に至った割合)が高い傾向に。
HPC(ヘルス&パーソナルケア)・Hard Line(家電・PC周辺機器等)は概ね13回程度で伸びが緩やか、もしくは鈍化するが、Beauty(化粧品)・Groceryに関しては30回まで閲覧数に比例してCVRが伸びる結果となった。
この結果から、購入へ繋げるためには1回のみの閲覧ではなく、いずれの商品も商品同士の回遊性を高めてブラックフライデー前に10回以上の閲覧数を獲得していく必要性があると同社は考察している。
同様に、ブラックフライデー期間中での閲覧数とCVRの関係を可視化したところ、HPCは14回付近まで閲覧数に応じてCVRが上昇し、Beauty・Groceryでは微増ながら直線的に推移している結果に。Hard Lineでも1ユーザーあたりの閲覧数とCVRは10回付近までは相関することがわかった。
これらの結果から同社は、いずれのカテゴリでも4回ほど閲覧させるとCVRは約5倍に跳ね上がるため、リターゲティング広告等を駆使し1ユーザーあたりの閲覧数を伸ばすことが推奨されるとしている。
閲覧数別のユーザー数を可視化すると、全体の約50%程度は閲覧数1回とまだまだ引き上げる余地がある結果に。特にHard Lineについては、1回閲覧のユーザーが70%弱と非常に多いことがわかる。
また先述のCVR5倍となる目安4回についても全体の5%しかいないため、まだ売上拡大の可能性が高いと同社は考察している。
■カートに商品を入れたものの購入に至らない離脱ユーザーは80%を超える
ブラックフライデー期間に、カートに商品を入れた後に購入していないユーザーを調査したところ、80%以上のユーザーは、カートに商品を入れたものの、購入を見送っていることがわかった。
さらに離脱率と広告インプレッション数の相関を見ると、離脱率は広告インプレッション数によって下がる傾向にある。もともとは85%程度ある離脱率が、広告(Amazon DSP)に接触することで、35%ほど離脱率を改善できる可能性がうかがえた。
■毎回のセールで購入しているユーザーはごく僅かだが、ブラックフライデーは大きなチャンス
どのカテゴリにおいても、以前の感謝祭の調査と同様に、年に複数回同じメーカーの商品を購入するユーザーは少ないことが判明。
さらに、セールごとかつカテゴリごとの購入回数を調査したところ、ブラックフライデーでのみ購入するユーザーが最も多く、ブラックフライデーの非参加は大きな機会損失につながる結果に。
これらの結果から同社は、他セールに比べても購入ユーザーの多いブラックフライデーの機会を逃すことなく、マーケティング施策を講じることを推奨。
ブラックフライデーの場合、売上最大化を測るためには期間前から複数回商品ページを閲覧してもらうような施策を講じることが重要だとしている。
<参考>
ウブン『昨年のAmazonブラックフライデーにおけるユーザー動向』