従業員採用時の最低時給、平均は1,167円 最低賃金より112円高くなるも都市部と地方で格差が顕著に

帝国データバンクは、最低賃金改定に対する企業の見解について、全国の企業に調査を実施し、結果を公表した。

なお同調査は、TDB景気動向調査2024年9月調査とともに実施されたとのことだ。

■従業員採用時の最も低い時給は平均1,167円、最低賃金時間額を112円上回る

正社員、非正規社員を問わず、従業員を採用するときの最も低い時給を尋ねたところ、全体平均は1,167円となり、改定後の最低賃金の全国加重平均1,055円を112円上回った。

最低賃金と採用時の最低時給

業界別では、「金融」「不動産」がともに1,261円でトップ。以下、「建設」(1,249円)、「サービス」(1,208円)、「卸売」(1,175円)が続き、5業界で全体平均を上回る結果に。

特に、「サービス」を詳細にみると、「情報サービス」(1,374円)や経営コンサルタントなどを含む「専門サービス」(1,313円)で1,300円を超え、相対的に高い水準となっている。

他方、同じ業界でも「旅館・ホテル」(1,037円)や「飲食店」(1,051円)は2024年の最低賃金1,055円を下回る水準にとどまり、業界間だけでなく、同じ業界内でも差が大きいことが分かった。

採用時の最低時給(業界別)

■都道府県別、「東京都」は1,340円で唯一1,300円超、一方で地域間での格差が顕著に

正社員、非正規社員を問わず、採用時の最低時給を都道府県別で比較すると、最も高かったのは「東京」の1,340円で、全国で唯一1,300円を超えた。

以下、「神奈川」(1,277円)、「大阪」(1,269円)、「愛知」(1,208円)、「埼玉」(1,205円)と続き、「千葉」(1,202円)の5府県で1,200円台となっている。とりわけ「東京」においては、改定された最低賃金と採用時の平均時給の差額が+177円と最大に。

最低賃金と採用時の最低時給(都道府県別)

一方で、「青森」(984円)、「秋田」(990円)、「鹿児島」(991円)の3県は最低時給の平均が1,000円を下回っている。

特に、「青森」は改定された最低賃金と採用時の平均時給の差額が最小で、その差額は+31円。なお、「秋田」「鹿児島」も+30円台後半の差額となっており、地方において差額が小さくなる傾向が表れる結果に。

都道府県別の最低時給は地域間の格差が顕著に表れるとともに、2024年度の最低賃金時間額と採用時の最低時給との間に乖離がみられた。

<参考>
帝国データバンク『最低賃金と採用時の最低時給に関する企業の実態調査(2024年9月)

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