PE-BANKは、全国のITフリーランスエンジニアを対象に「フリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)に関する実態調査」を実施し、結果を公表した。
1.約6割の人が取引先とのトラブル経験がある一方、契約書を必ず取り交わしている人はわずか3割未満に。
「取引先が原因でトラブルが起きた経験があるか」を聞いたところ、「よくある」が11.7%、「たまにある」が47.2%で、58.9%の人がトラブルを経験したことがあるとわかった。
さらに「取引先と契約書を取り交わしているか」を聞いたところ、「必ず取り交わしている」が28.1%とわずか3割未満ということが明らかになった。
2.トラブル内容のTOP3は、1位「報酬の支払い遅延や不払い」、2位「不当な減額交渉」、3位「追加修正の無償対応」と金銭的なトラブルが多い傾向に。
「取引先が原因でトラブルが起きた経験がある」と回答した人に、「どのようなトラブルを経験したことがあるか」を聞いたところ、「報酬の支払い遅延や不払い」が49.1%で最多に。
次いで「不当な減額交渉」が40.4%、「追加修正の無償対応」が31.6%と続き、金銭的なトラブルが多い傾向が見られた。
3.約7割の人がフリーランス新法について知らないと回答。施行内容について全て理解している人はわずか2割未満。
「フリーランス新法について知っているか」を聞いたところ、「あまり知らない」が32.8%、「全く知らない」が36.9%と、69.7%がフリーランス新法について十分に周知されてないことが判明。
また「フリーランス新法について知っている」と回答した人に、「フリーランス新法について理解しているか」を聞いたところ、「全て理解している」が16.5%のみとなった。
フリーランス新法の施行内容について全て理解している人はわずか2割未満という結果になり、ITフリーランスエンジニアには、あまり理解浸透していないことが明らかに。
4.施行内容で最も評価する項目は「報酬支払期日の設定と期日内の支払いの徹底」、次いで「書面などによる取引条件の明示」、「禁止行為の是正」となり、金銭トラブルを解決する項目を評価する傾向に。
「フリーランス新法における発注者側の義務に対し何を一番評価するか」という質問では、「報酬支払期日の設定と期日内の支払いの徹底」が63.3%と最も多く、次いで「書面などによる取引条件の明示」が60.6%、「禁止行為の是正」が46.8%と続く。
金銭トラブルを解決する項目を評価する傾向が見られた。
5.3人に1人が施行されても発注者との取引は改善されないと回答。最も多い理由が「新法で定められても立場が弱く、不当性を感じても取引先に打診できるか不安」。
「フリーランス新法について知っている」と回答した人に、「フリーランス新法施行により、発注者とトラブルなくより円滑な取引ができるようになると思うか」を質問。
その結果、「あまりそう思わない」が28.4%、「全く思わない」が6.4%と、3人に1人(34.8%)が新法施行されても取引が改善されると思わないと回答した。
また、「思わない」と回答した人に、「改善されないと思う理由」を聞いたところ、「新法で定められても立場が弱く、不当性を感じても取引先に打診できるか不安」が57.9%で最多。次いで「企業側が新法について理解浸透するのかが不安」が47.4%という結果に。
フリーランス新法が施行されても、実際にその利益を得られないと不安に思う人も一定数いることが明らかとなった。
6.フリーランスエージェントに登録している人はわずか2割未満も「業務調整がしやすい」、「報酬や条件の交渉がしやすい」、「トラブルが起きにくい」など仲介者の存在により取引が円滑になる傾向に。
「フリーランスに案件を紹介するエージェントサービスに登録しているか」を聞いたところ、「はい」がわずか14.7%と、エージェントサービス活用者はわずか2割未満となっている。
さらに「エージェントサービスに登録している」と回答した人に「取引先との間に仲介者がいることでどのようなメリットを感じられるか」を聞いたところ、「業務調整がしやすい」が62.3%で最多に。
次いで「トラブルが起きにくい」が47.2%、「報酬や条件の交渉がしやすい」が43.4%と続き、同社は、仲介者の存在により円滑な取引が行われるメリットが伺えたとしている。
【調査概要】
調査対象:全国のITフリーランスエンジニア
サンプル数:360サンプル
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2024年10月10日~2024年10月18日
<参考>
PE-BANK調べ『フリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)に関する実態調査』