【古着でワクチン支援】世界をめぐり、知ることの大切さを実感|イモトアヤコのサステナブック

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日々の暮らしのなかにあるサステナビリティを紹介する特集「サステナブック」。第25回に登場するのは、タレントのイモトアヤコさん。これまでに訪れた国は120カ国以上。世界をめぐり数々の社会問題に触れてきたイモトさんが、古着の回収によるワクチン支援を紹介。

【プロフィール】
イモトアヤコさん
タレント。2007年日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」のオーディションに合格し、太い眉毛の“珍獣ハンター”として注目を集める。TBSラジオ『イモトアヤコのすっぴんしゃん』ではパーソナリティを務め、ドラマ、舞台など俳優業にも活躍の場を広げる。日々の暮らしがテーマのWEBマガジン「よかん日和」も更新中。

ポリオワクチンを届けられる古着回収

出典:古着deワクチン(https://furugidevaccine.etsl.jp/

——今回ご紹介いただくサステナブルなアクションについてお聞かせください。

「古着deワクチン」を紹介します。着なくなった服を送ることで、開発途上国の子どもたちにワクチンを届けることができるサービスです。
服以外にも、子どものおもちゃなども回収してくれて、現地で再利用される仕組みになっています。さらに、回収キットを購入すると、その収益でポリオワクチンが必要な子どもたちへと届けられ、ただ服を送るだけではなく、ワクチン支援にもつながることに興味を惹かれました。

——ご自身でも古着をはじめ中古品をよく利用しているとお聞きしました。どんな理由から中古品を選んでいるのですか?

2年前に子どもが生まれてからは、機能的でラクな服を選ぶようになっていたのですが、たまたま入った古着屋で素敵な服に出会いました。そこで、もともと自分の軸にあった「好きなものを自分らしく着ればいいんだ」という気持ちを取り戻した感じがして、そこからハマるようになりました。昔の服は丈夫で長く着られるし「これは何回も洗われてできたシワなんだろうな」とか考えるとロマンを感じます。

古着にハマってからは、中古品に対する抵抗がなくなり、日用品なども中古で購入することが増えました。例えば家電は新品がよいと思っていたけれど、古い物には味があるし、現在愛用しているカメラも中古品です。

私はもともと飽き性で新しい物が好きなのですが、年齢とともに「それはちょっと違うな」と感じてきました。古着が好きになってから、考え方が少しずつ変わってきたように思います。物持ちのよい生活に憧れますね。

私なりのサステナビリティ

——そのほかに、普段の生活のなかで意識していることはありますか?

食品ロスを減らしたいので、外食する際には保存容器を持ち歩いています。意外に思われるかもしれませんが、実は少食で食べきれないことがあるんです。お店によっては持ち帰り用の容器を用意してくれているところもありますが、後々ゴミになってしまうことを考えて、あらかじめ自分で保存容器を準備するようになりました。家では旦那がよく食べてくれるので、家庭内での食品ロスはほとんどないですね。

あとは、よく山登りのロケに行くのですが、山男たちは自然にサステナブルな行動をしています。食器を洗うお水がないので、スープは一滴残らず飲み干して、お皿もスプーンもキレイになめるんです。それで、食べ終わった後にはもう何もない状態っていう感じで。これは極端な例ですが、それくらい食べ物や水を無駄にしない“山男イズム”は見習いたいです。

——こんなサービスや仕組みがあったらいいなと思うものはありますか?

害獣を捕獲する猟師さんたちに、適切にお金が回る仕組みができたらいいなと思います。イノシシなどの害獣の捕獲に同行させてもらった時の話です。害獣を捕獲するのには労力が必要で危険が伴いました。でも、命懸けで捕獲しても猟師さんへの謝礼は1,000円程度……。ほぼボランティアみたいなものですよね。

人間と動物が共存できるのが最良。でも、今後害獣が土地を荒らすことは増えるでしょうから、私たちの生活を守るためにも、猟師さんたちの収入を安定させる仕組みがあったらいいなと思います。

——さまざまな国を訪れるなかで、サステナビリティに対して感じたエピソードがあればお聞かせください。

貧しい国を訪問することもあるのですが、その日の食べ物すら「どうしよう?」と考えている人たちは、環境問題について考えられる状況にはありません。
例えば、大量に消費されるペットボトルがよくないとわかっていても、現地の子どもたちはそのペットボトルを欲しがるんです。ミネラルウォーターを飲んでいると何十人もの子どもたちが群がってきます。

このようにサステナビリティを考えることが難しい世界がある一方で、環境問題に向き合っている人もいます。先日訪れたコンゴ民主共和国では、ゴミを纏って街を歩くアーティストや、廃材から楽器を作ってバンドを組んでいる人がいました。厳しい環境のなかでもそういった行動をとることができる人は尊敬しますね。

——SDGsのなかで、特に気になる項目はありますか?

教育です。以前、カンボジアで水上生活をしている人たちを取材しました。
事前情報を入れずに現地へ行き、14歳くらいの少女に悪気もなく「水上生活で楽しいことは?」と聞いたんです。そうしたら「楽しいことなんて一つもない。私たちはここに住みたくて住んでいるわけではない」と言われてしまって……。

後からわかったのですが、そこに住んでいるのは土地がなく国籍を与えられていない人たちなんですよね。だから学校にも行けない。それなのに「楽しいことは?」なんて聞いてしまって、無知だった自分が恥ずかしいなと思いました。

世の中には知らない方がよいこともたくさんありますが、こうした社会問題について、まずは当事者でない私たちが知っていくことが大事だなと思います。そういう意味でも、まずは教育が必要だと感じます。

——今後、私たちはサステナビリティとどのように向き合うべきだと思いますか?

「SDGsを考えるのってカッコイイよね、おしゃれだよね!」くらいのマインドでも構わないと思うんです。例えば、マイボトルを持つことがおしゃれという感覚にもなりつつあると思うのですが、きっかけはそれでも全然よいのではないのでしょうか。 難しいこととして無理して向き合おうとするのではなく、カッコイイ・おしゃれという理由から、興味を持って考えていくことも素敵だと思います。結果として良いことをしているということには何も変わりがないですからね。

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