パーソル総合研究所と、中央大学(東京都八王子市、学長:河合久)は、共同研究として取り組んできた「労働市場の未来推計2035」の結果を発表した。

今回の「労働市場の未来推計2035」では、労働力不足を「人手」ではなく「時間」で捉え、対象を「日本人」だけでなく「外国人」も含めることで、より精度の高い推計を目指したとのことだ。

■労働市場2035の概観

2035年にかけて、シニア、女性、外国人の労働参加が進み就業者は増加するも、1人あたりの労働時間は減少し、労働力不足は深刻化。

労働市場2035の概観

■主なトピックス(詳細)

(1)2035年、日本では1日あたり1,775万時間の労働力不足が見込まれるという。これは、働き手384万人分の労働力不足に換算され、2023年よりも1.85倍深刻となる。

2035年、日本では1日あたり1,775万時間の労働力不足が見込まれる

(2)就業者数(労働供給)は、2023年時点の6,747万人に対して、2030年は6,959万人、2035年には7,122万人と増加していく見込み。内訳をみると、60歳未満の就業者は減少傾向であり、60歳以上の就業者が増加傾向に。

就業者数(労働供給)の推移

(3)性年代別にみた2035年の労働力率(労働参加率)は、2023年時点から全体的に上昇していく見込み。女性の労働力率の上昇幅が大きく、特に女性60代は20pt以上の上昇見込み。

性年代別にみた2035年の労働力率(労働参加率)

(4)外国人就業者数(労働供給)は、2023年時点の205万人に対して、2030年に305万人、2035年には377万人と増加していく見込みとなっている。

外国人就業者数(労働供給)

(5)就業者1人あたりの年間労働時間は、2023年の1,850時間に対して、2030年に1,776時間、2035年には1,687時間と減少していく見込みである。

就業者1人あたりの年間労働時間

(6)産業別でみると、最も労働力が不足するのは「サービス業」で532万時間不足/日となり、次いで「卸売・小売業」が354万時間/日、「医療・福祉」が226万時間/日の労働力不足という結果に。

産業別の労働供給・労働力不足

(7)職業別でみると、最も労働力が不足するのは「事務従事者」で365万時間不足/日となり、次いで「専門的・技術的職業従事者」が302万時間/日、「サービス職業従事者」が266万時間/日、「販売従事者」が245万時間/日の労働力不足となる。

職業別の労働供給・労働力不足

(8)都道府県別では、特に東北エリアの労働力不足率が高くなる見込みとなっている。

都道府県別の労働供給・労働力不足

なお、労働力不足率は「(1ー「労働供給」÷「労働需要」)×100」で算出式。

<参考>
パーソル総合研究所・中央大学『労働市場の未来推計2035