不動産業界、「DXを推進すべき」と思う人は99%で過去最高 経験者の75%以上が効果を実感するも約3割は「DX疲れ」を感じている

不動産テック企業7社と全国賃貸住宅新聞は、不動産関連事業に従事する1,320名に対して行ったアンケート「不動産業界のDX推進状況調査 2024」の結果を公表した。

不動産業界のDX推進状況調査 2024

■「DXを推進すべき」は99.0%で過去最高、「DXに取り組んでいる/いた・予定」が64.9%

DXを推進すべきか質問したところ「強く推進すべきだと思う」「推進すべき」「状況に合わせて推進すべき」と回答した人の合計が99.0%と、ほとんどの人がDXの必要性を感じている結果に。

実際にDXに「取り組んでいる/いた・予定」の企業も64.3%と、DXの取り組みへの意識が高まっている事がわかった。

DXを推進すべきか・DXの進捗状況

■DXの取り組み期間「3年以上」と回答した企業の割合が昨年と比べて約10%増加

DXに取り組んでいる期間について質問したところ、「3年以上」が30.1%で、昨年と比較し割合が約10%も増加。1年以上取り組んでいる企業を合計すると67.9%と、DXに継続的に取り組む企業が増えている。

DXに取り組んでいる期間

また、DX推進の目的は、「業務効率化」が最も多く91.9%で、次いで「生産性向上」が61.6%、「顧客満足度アップ」が37.8%となった。

DX推進の目的

■DXに取り組もうと思ったきっかけ、1位は「DXの機運が高まっているから」

「取り組む予定」と答えた人に、そのきっかけについて質問したところ、62.3%が「DXの機運が高まっているから」、19.3%が「社内メンバーから要望があったから」、18.1%が「DX関連の記事・ニュースを読んだから」と回答。

■DX経験者の75%以上がDXの効果を実感しており、主な効果は「従業員の生産性向上」

「DXに取り組んでいる/いた」と回答した人へ、DXの効果について質問したところ、「とても効果を実感している」は20.4%、「まあまあ効果を実感している」は55.3%と、合計75.7%が効果を実感。

具体的な効果は「従業員の生産性が向上」が74.0%、「残業時間を大幅に削減できた」が26.9%、「コストカットができた」が23.9%となった。

DXの効果・具体的な効果

■「DX疲れ」を感じている人は34.1%、理由は「現場が複数のシステムを使い分けることに難しさを感じている」「システム同士が連携していないことによる不便さを感じている」など

DXについて「DX疲れ」を実感しているか質問したところ、「とても実感している」「まあまあ実感している」と回答した人の合計は34.1%。

その理由としては、半数以上が「複数のシステムを使い分けることに難しさを感じている」「システム同士が連携していないことによる不便さを感じている」など。

「DX疲れ」を実感しているか

■社内でDXを推進している部署は「営業企画・営業部」が24.5%で最多

現在DXに取り組んでいると答えた人に対し、DXを推進している部署について質問したところ、「営業企画・営業部」が24.5%が最も多く、次いで「役員直轄」が23.7%、「経営企画・事業企画・社長室など」が12.0%となった。

DXを推進している部署

■生成AIを「業務で活用している」のは18.0%、最も活用されている「ChatGPT」は「物件の紹介文などの作成」などに利用

近年、さまざまな領域で活用が進んでいる生成AIを、18.0%が「業務で活用している」と回答。また、「個人の判断で利用している」の回答が44.7%と最も多い結果に。

生成AIの活用について

なお、活用/予定/検討している生成AIは「ChatGPT」が87.8%と最多で、利用目的は「物件の紹介文などの作成」や「情報収集」、「顧客対応や問い合わせ対応文の作成」などが挙げられている。

【左】活用/予定/検討している生成AI【右】利用目的

■不動産業界でよく活用されているSNSは「Instagram」「LINE」、その目的は「自社サイトへの集客のため」が最多

業務で活用しているSNSについて質問したところ、「Instagram」が40.6%、「LINE」が40.3%。活用の目的は「自社サイトへの集客のため」が56.1%、「SNS経由のお問い合わせを増やすため(物件への問い合わせDMなど)」39.1%と、多くの目的はエンドユーザーとの接点を増やすことだとうかがえる。

業務で活用しているSNS

■不動産DXについて76.6%が情報収集しており、紙メディアよりWebメディアの割合が増加

不動産DXについて情報収集しているか質問したところ、「頻繁に情報収集している」は14.3%、「たまに情報収集している」は62.3%。

また、どのように情報収集しているか質問したところ、回答が最も多かったのは「Webメディア(不動産・住宅業界)」で68.1%、次いで「不動産業界イベント」が37.5%、「新聞(不動産・住宅業界)」が27.4%となった。

不動産DXについての情報収集方法

■導入中/導入進行中が多いシステムは「賃貸管理」「入居申込」「内見予約」「電子契約」

現在導入中または導入進行中の不動産テックシステムについて質問したところ「賃貸管理システム(不動産基幹ソフト)」が最も多く44.1%、次いで「入居申込システム」が41.8%、「内見予約システム」が34.8%、「電子契約システム」が32.7%となっている。

導入中/導入進行中が多いシステム

■満足度が高いシステムは「内見予約」「入居申込」「入居者管理」「AI査定」

導入中の不動産テックサービスの満足度について質問したところ、「とても満足している/まあまあ満足している」の回答が最も高かったのは「内見予約システム」で83.5%、次いで「入居申込システム」が81.1%、「入居者管理アプリ・システム」が73.1%、「AI査定システム」が70.6%となった。

満足度が高いシステム

<参考>
不動産テック企業7社と全国賃貸住宅新聞『不動産業界のDX推進状況調査 2024

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