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帝国データバンクは、「女性登用に対する企業の見解」について調査を実施し、その結果を公表した。なお、同調査は、TDB景気動向調査2024年7月調査とともに実施したという。
■女性管理職割合の平均は10.9%、調査開始後初めて10%台とじわり前進
自社における管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を聞いたところ、「30%以上」が11.4%、「20%以上30%未満」が6.4%、「10%以上20%未満」が9.1%、「10%未満」が25.5%だった。
また、管理職が全員男性である企業は43.0%と前年から2.1ポイント低下したが、全項目のうち最も高い結果に。
さらに、政府目標の「30%程度」を達成している企業の割合は前年から1.6ポイント増と、上昇幅は過去最大となり、2013年の調査開始以降で初めて10%を超えた。
管理職に占める女性の割合の平均は10.9%で、調査開始後初めて10%台に乗り、前年からの上昇幅は1.1ポイントと2021年と並び過去最大の伸びとなった。
次に、女性管理職の割合を規模別にみると、「大企業」が平均7.6%で最も低かった。また、「中小企業」は11.5%、うち「小規模企業」は14.4%となり、規模が小さい企業ほど女性管理職割合の平均は高い状況が続いた。
業界別では、女性従業員が比較的多い「小売」が19.4%で、全体(10.9%)を8.5ポイント上回り、トップに。次いで、「不動産」(16.7%)、「サービス」(15.3%)、「農・林・水産」(12.7%)が上位に並んだ。
一方、工場における三交代制などで生活時間が不規則になりやすい「製造」や2024年問題など長時間労働のイメージが強い「運輸・倉庫」「建設」など、女性従業員数が比較的少ない業界は低水準にとどまる結果に。
■女性役員割合の平均は13.5%と過去最高も、「役員が全員男性」の企業は依然50%を超える
自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合は平均13.5%と、前年(13.1%)から0.4ポイント増加し、過去最高となった。一方で、役員が全員男性の企業は52.4%と依然として半数を超えた。
女性役員割合の平均を規模別にみると、「大企業」が6.7%、「中小企業」が14.8%、うち「小規模企業」が19.1%となり、女性管理職と同様に規模が小さい企業ほど割合が高い結果に。
■32.7%の企業が「女性管理職割合の増加」を見込む。上場企業など規模が大きいほど「増加する」割合が高い傾向
自社における女性管理職の割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているか聞いたところ、女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる企業は32.7%で、「変わらない」は42.4%だった。
女性役員については、今後「増加する」と考えている企業は13.0%となった一方で、「変わらない」は57.2%と過半数を占めた。
従業員数別にみると、「301人以上」では女性管理職の割合が今後「増加する」と見込む企業は65.0%と全体(32.7%)を32.3ポイント上回っており、女性役員の割合についても全体より15ポイント近く高かった。
また、全区分のうち、従業員数「301人以上」における前年からの増加幅は管理職・役員ともに最大に。
2023年3月期決算の有価証券報告書から「女性管理職比率」や「男女間賃金格差」などの開示が義務化された「上場企業」では、今後女性管理職が「増加する」と考えている企業の割合が67.1%となり、全体より30ポイント以上高かった。
また、女性役員が「増加する」とする割合も35.6%と全体を20ポイント以上上回る結果に。
■女性活躍推進策、「公平な評価」が60%超でトップ。中小企業が行う対策は停滞感が漂う
女性の活躍推進のために自社で行っていることについて聞いたところ、「性別に関わらず成果で評価」が61.2%でトップに。次いで、「性別に関わらず配置・配属」(50.6%)が続き、男女平等に関わる項目が上位に並んだ。
また、「就業時間の柔軟化」および「時短勤務の対応」といった男女問わず働き手の家庭と仕事の両立への支援となる取り組みを行っている企業はおよそ4社に1社だった。
規模別では、「女性の育児・介護休業の取り組み促進」や「男性の育児・介護休業の推進」で大企業が中小企業を20ポイント超上回り、働き方に関する対策に規模間で大きな格差がみられた。
■要因や課題、「家庭と仕事の両立のしづらさ」が唯一50%超。「成果で評価」のみ、中小企業が上回る
日本において女性管理職の割合が上昇しない要因や課題について聞いたところ、「女性従業員の家庭と仕事の両立がしにくい」が54.4%でトップとなり、唯一50%を超えた。
次いで、「日本社会の性別役割分担意識の存在」(38.5%)、「女性従業員が昇進を望まない」(36.2%)が続いた。
規模別でみると、「その他」を除く13項目中「性別に関わらず成果で評価している」以外の12項目で「大企業」が「中小企業」を上回った。とりわけ「女性従業員が昇進を望まない」は11.3ポイントの開きがあった。
企業からは、「女性の妊娠や育休などにより、働けない期間が生まれ、キャリアや経験年数が不足してしまう」(医療・福祉・保健衛生)や「徐々に女性の意識改革は進んでいるが、昇進にともなう重責を好まない傾向にある」(建設)といった声が多数あがった。
【調査概要】
調査期間:2024年7月18日~31日
調査対象:全国2万7,191社
有効回答企業数:1万1,282社(回答率41.5%)
調査機関:帝国データバンク
<参考>帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2024年)」