PayPayは、労働基準法施行規則に基づく指定要件を満たすサービスとして「PayPay給与受取」を提供することを発表した。
同社は、資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)(以下、給与デジタル払い)に対応する資金移動業者として、厚生労働大臣の指定を受けたとのことだ。
給与デジタル払いに対応する事業者を勤務先とする従業員(ユーザー)は、引き続き、給与を金融機関口座や現金で受け取ることに加え、雇用主(事業者)から従来と同様に銀行口座宛ての振込をされることで、PayPayアカウントでもPayPayマネー残高(PayPayマネー(給与))として給与を受け取ることができるようになるという。
同社は、2024年内にすべてのPayPayユーザーへのサービス提供を見据え、「PayPay給与受取」に対応希望の雇用主(事業者)向け、従業員(ユーザー)向けの専用ページを公開予定。「PayPay給与受取」の概要、資料のダウンロード、よくある質問、お問い合わせフォームを掲載予定とのことだ。
また、8月14日から、PayPayをはじめソフトバンク、LINEヤフーなどのソフトバンクグループ各社の従業員を対象に「PayPay給与受取」の提供を開始し、各社から希望する従業員のPayPayアカウントへの給与支払いを開始予定。
すべてのPayPayユーザー(ソフトバンクグループ各社以外向け)を対象とした「PayPay給与受取」のサービス提供開始は、準備ができ次第発表するとしている。
■「PayPay給与受取」利用ユーザー(従業員)向けサービス
従業員(ユーザー)は、勤務先にて給与デジタル払いに対応するために必要な労使協定の締結がされているかを確認し、雇用主(事業者)へ同意を申請したのち、PayPayアプリで「PayPay給与受取」に申し込む。
その後、PayPayアカウントに給与を受け取るための「給与受取口座」と、受け取った給与をPayPay残高として保有する「PayPayマネーアカウント(給与受取)」および銀行振込により「PayPayマネーアカウント(給与受取)」にチャージするための「給与受取口座への入金用口座番号(銀行口座番号)」が設定されるという。
従業員(ユーザー)は「給与受取口座への入金用口座番号(銀行口座番号)」を給与振込先として雇用主(事業者)に伝え、雇用主(事業者)から給与が銀行振込されるとPayPay残高(PayPayマネー(給与))として「PayPayマネーアカウント(給与受取)」にチャージ。
給与としてチャージされた残高(PayPayマネー(給与))の保有できる残高上限額は20万円。新たに受け取る給与が残高上限額を超過する場合は、従業員(ユーザー)が予め指定した本人名義の金融機関口座(自動送金先口座)へPayPayから送金されるという(手数料無料)。
なお、「PayPay給与受取」を利用するユーザーのPayPayマネーの残高上限額は80万円(PayPayマネーとPayPayマネー(給与)の合計で上限100万円)とのことだ。
給与としてチャージされたPayPayマネー(給与)は、受け取った直後から、本人名義の金融機関口座へ送金(銀行振込)可能。送金先がPayPay銀行の場合、送金手数料は無料だという。また、PayPay銀行以外の金融機関の場合、送金手数料は100円(税込)とのことだ。
ただし、PayPay銀行の口座宛て、PayPay銀行以外の口座宛ての送金のうち、PayPayマネー(給与)を含む月1回目(初回)に該当する取引の場合は、送金手数料は無料。
■雇用主(事業者)が従業員(ユーザー)のPayPayアカウントへ給与を支払う方法
給与振込元の雇用主(事業者)は、従来と同様に銀行口座への振込を行うことで、従業員のPayPayアカウントへの給与支払が可能。給与デジタル払いに向けた追加の送金システム開発やPayPayとの間で新たなサービスの契約は必要ないという。
雇用主(事業者)は、PayPayが従業員(ユーザー)に割り当てたPayPayアカウントへチャージするための「給与受取口座の入金用口座番号(銀行口座)」へ振込を行い、ユーザーの「給与受取口座」に入金した時点で、給与支払が完了。
「入金用口座番号」での振込の受取とユーザーの「給与受取口座」への入金は、PayPay内でリアルタイムに行われるとしている。
雇用主(事業者)が給与デジタル払いに対応するためには、労使協定の締結と、従業員へのサービス等の説明と個別の同意取得が必要だという。雇用主(事業者)における「PayPay給与受取」への対応については、公開予定の専用ページで確認できるとのことだ。