帝国データバンクは、2023年度決算期の全上場約3800社における平均年間給与について調査・分析を実施し、その結果を公表した。
■「上場企業」社員の23年度平均給与は651万円、過去20年で最高値を更新
調査結果によると、「上場企業」社員の2023年度平均給与は651万4000円で、過去20年で最高額を更新した。2023年度の平均給与額は2022年度の637万3000円より14万1000円(+2.2%)多く、3年連続で前年から増加している。
また、2023年度平均給与額が最も高い企業は、M&Aキャピタルパートナーズ(2478万円、東証プライム)であったとのことだ。
2022-2023年度の増減を比較すると、前年度から平均年間給与が「増加」した上場企業は68.7%を占めた。賃上げの動きが広がり、全上場企業の20.1%が増加率「5%未満」で、15.3%が「10%未満」、8.8%が「10%以上」となっている。厚生労働省の調査による2023年の平均賃上げ率3.6%を上回る上場企業は3割を超えたという。
■「東証プライム」上場企業は平均700万円超、全市場平均で最高額
上場市場別にみると、「東証プライム」上場企業が平均735万7000円と最も高く、2年連続で700万円を超えた。また、「東証グロース」は平均606万4000円となり、旧東証ジャスダック・マザーズ両市場と比較しても初めて600万円を超えた。
業種別にみると、最も平均年間給与が高い業界は「海運業」の1008万円で、全業界で唯一平均1000万円を超えた。全33業界のうち約8割にあたる27業界で、集計可能な2003年度以降で最高額を更新している。
ポストコロナに向けて経済活動が本格化する中、人手不足への対応や業績好調な企業・業界を中心に賃上げの動きが進み、上場企業の給与水準は過去20年間で最高額を更新した。
2024年度は物価高などを理由に初任給や時給の引き上げに動く企業もあり、待遇改善で人材確保を図る傾向が一層強まっているという。33年ぶりの水準に達した春闘を経て、上場企業の24年度平均年間給与は上昇すると予測されるとしている。
<参考>
帝国データバンク『上場企業の「平均年間給与」動向調査(2023年度決算)』