三菱化工機は、本社・川崎製作所の再構築に関する基本計画について発表した。

新施設の完成は2027年を予定しているという。

新本社・川崎製作所の外観図(イメージ)

■再編の目的

同社は1935年の創立以来、現在の本社・川崎製作所をモノづくりの主力工場として、さまざまな製品の開発・製造を実施。

2012年には、当時3つあった工場の1つを、同社の主力製品である油清浄機「三菱セルフジェクター」専用工場として建て替えたが、残る工場や事務所棟、研究棟なども老朽化が進んでおり、建築物の根本的な見直しが必要となっていたという。

同社グループが目指す姿を策定した「三菱化工機グループ2050経営ビジョン」の実現のためには、カーボンニュートラル社会に寄与する新しい技術や製品の開発が不可欠であり、開発の拠点や新しい製品の製造拠点が必要となることから、今回、本社・川崎製作所の全面的な再整備を決定したとしている。

■再編計画の概要

同計画では本社・川崎製作所内の各棟(SJ工場・水素ステーション一帯を除く)を解体し、同社事業に必要な機能(工場・事務所・研究施設)の建て替え配置を実施。

●事務所研究棟
事務所および研究施設の機能を集約することで、それら機能に要するスペースや食堂、会議室など付帯設備の最適化を図るという。また、従業員の多様な働き方や自主・自律・自発的な活動に応える空間デザインを計画し、従業員エンゲージメントおよび労働生産性の向上を図るとしている。

事務所研究棟(イメージ)

●工場実験棟
環境に配慮した最先端工場をコンセプトに、省エネや脱炭素化、DX化をリードするモノづくりの中心拠点として、次世代製品の生産を担うほか既存の遠心分離機やろ過機、フィルター等の産業機械および船舶環境規制対応機器の組み立て機能を担うもの。

また、同社の既存・新規技術と同社経営ビジョンに掲げる戦略的事業領域を軸に、外部機関との共創・相乗効果を図る多目的な実験・研究フィールドを併設するという。

工場実験棟(イメージ)

自然との共生と従業員エンゲージメントの向上
既存のSJ工場と新設する2つの建物が囲う形で緑地を整備。同社の経営ビジョンの実現には「自然との共生」の視点は必要不可欠であることから、就業時においても自然とのふれあいが可能な環境とするとのことだ。

また、事務所研究棟前には交流テラスを設置するほか、ルーフバルコニーの設置も計画。外部の景観を望めるつくりとすることで、従業員の創造性やモチベーションを引き出し、良好なコミュニケーションを図ることが可能な職場環境を整備するとしている。

イメージ

●製造部門と研究開発部門が融合した、成長戦略を推進する設備
工場実験棟では、製造部門と研究開発部門の各機能が連携をしやすい構造、配置を計画。また、産学官の連携を実践する実験設備をはじめ、オープンイノベーションの中核となる施設として、コミュニケーションやディスカッションが活性化されやすい環境を構築するという。

両建築物の完成予定時期は、2027年2月とのことだ。

<建築物の構造・種別>

建築物の構造・種別

●環境配慮と工程管理
同計画では、稼働している事務所・工場の機能を停止させることなく建設し機能を移行させていく必要がある。そのため、工程遅延による事業活動への影響が起きないよう計画しているという。周辺環境にも配慮し、安全対策や騒音・振動対策を十分に実施して再編を進めるとのことだ。

また、最新の省エネ、創エネ技術の導入を検討しZEB(※) Readyの取得を目指し、将来的にはNearly ZEBの取得も視野に入れて、計画を実施するとしている。