日本最大級のピッチコンテスト「IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO」開催! 優勝賞金1,000万円を獲得したスタートアップは?<後編>

提供:IVS2024 KYOTO / IVS Crypto 2024 KYOTO

2007年に初開催され、2024年で18年目を迎える「IVS LAUNCHPAD」。過去に登壇した企業の60社がEXIT、10億円以上の資金調達を実施した急成長企業が35社以上あり、「スタートアップの登竜門」とも呼ばれるようにイベントに。

2024年は、2024年7月4日〜6日に京都パルスプラザにて「IVS2024 KYOTO / IVS Crypto 2024 KYOTO」が実施された。

本記事では、熱戦が繰り広げられたピッチイベント「IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO」の様子をレポートする。後編では、15社のうち後半に登壇した7社のビジネスモデル、及び優勝賞金1,000万円を獲得したスタートアップを紹介したい。前編はこちらから。

<Yuimedi>医療データ抽出を加速するAI Copilot

医療データ関連のワンストップサービスを目指す(IVS LAUNCHPADの公式配信より)

2020年に創業したYuimediは、医療研究を行うための医療データ抽出を効率化するAI Copilot「YuiQuery」を提供している。

医療データの抽出作業は多くのプロセスがあり、1つのデータセットを作成するのに数カ月〜半年かかるのが一般的だという。そこでYuiQueryを活用することで、AI技術を使った会話形式のプロセスにより数分間で抽出作業を終えることができるそうだ。

同社ではデータ標準化のプロダクトで13社での導入実績があり、2024年10月に日米でYuiQueryをローンチ予定、その後、データの監査と分析のサービスを開発し、集まってくるデータをもとに製薬企業向けの事業展開を予定している。初期導入費+サブスクリプションのビジネスモデルとなる。

<Solafune>衛星データ解析プラットフォーム

世界中から衛生データの分析結果を集め、解析プラットフォームとして提供(IVS LAUNCHPADの公式配信より)

2020年に創業したSolafuneは、世界の国が抱える課題を解決するための衛生データの解析技術を提供している。現在、地球の周辺には大量の人工衛星が打ち上がっており、それぞれに大量のセンサーが搭載され、幅広いデータを取得している。

同社は、その解析結果を世界中から収集し、衛生データ解析プラットフォームとして提供している。解析結果の収集方法はユニークで、データセットをオンラインで公開し、世界中から集まった解析結果を自動評価、優秀な分析結果には賞金を渡してライセンスを買い取っている。これまでに19,000以上の分析結果を買い取ってきたという。

クライアントは世界の政府機関で、世界100カ国の技術者に使用されている実績がある。

<Penetrator>人工衛星を使って価値ある不動産を探す

衛生データを活用して不動産検索が可能(IVS LAUNCHPADの公式配信より)

2022年に創業したPenetratorは、不動産ビジネスにおける土地の仕入れを効率化するサービス「WHERE」を提供している。通常、土地の仕入れは土地を持っている人、持っていそうな人にアポイントを取って土地の情報を取得し、現地に足を運んで仕入れていくが、それでは効率が悪い。

そこで、人工衛星データとAI分析を活用して、データ上で候補地を選定、その後に持ち主を探してアプローチができるツールとしてWHEREを開発。ツール上で最新の土地の所有者や評価指標も取得できる。

ビジネスモデルは月額50万円のサブスクリプション(超過分は従量課金)で、リリース9カ月で単月の売り上げが1億円を突破。三菱地所や東京建物など大手企業への導入実績もあるという。海外の不動産も検索が可能で、フロリダ版をリリース済とのこと。

<Valtec>アパレルデザインのプラットフォーム

プラットフォーム上で洋服をデザインできる(IVS LAUNCHPADの公式配信より)

台湾発Valtecは、アパレルデザインのためのCADプラットフォーム「DMKTZ Studio」を提供している。同社いわく、アパレル業界には多くの課題があり、洋服の制作には約8カ月の期間がかかる。その間に修正などによる廃棄も多く発生しているという。

そこで、3Dスキャン、コンピューターグラフィックス、AIを搭載したAIデザインプラットフォームを開発。デザイナーは実物のモデルの3Dスキャンを作成して寸法を抽出、同じく3Dスキャンの生地データを活用し、プラットフォーム上でデザインを完成させられる。

DMKTZ Studioの活用により、制作期間を約4カ月、コストを約50%に削減、さらにCO2の削減にもつながっているという。ビジネスモデルは、SaaSのサブスクリプションと3Dスキャナーのデジタル設備の販売となる。これまでに250以上の企業との取引実績がある。

<Elevate foods>3Dプリントでデジタルフードを製作

3Dプリント調理技術を使ってデジタルフードを製作(IVS LAUNCHPADの公式配信より)

香港発のElevate foodsは、特許取得済の3Dプリント調理技術を使ってデジタルフードを製作している。主なターゲットは柔らかい食事を必要とする高齢者で、同社の技術によって、食べ物の形状・食感・栄養バランスをパーソナライズできる。

柔らかい食感を維持しながら形状を形作り、さらに原材料となる食インクに動物性タンパク質や食物繊維といった栄養素を加えるなどして、栄養を強化することも可能だ。同社の調理器には独自の加熱技術も搭載しており、競合にはない強みになっているとのこと。

Elevate foodsの調査では、3Dプリンター食品の世界市場規模は2023年時点で10億ドルにのぼり、高齢者向けの食品の世界市場規模は24億ドルに倍増。同社が開発したデバイスやプラットフォーム、食品インクパック等を販売するビジネスモデルだ。現在、日本市場進出に向けて食品サプライヤーや装置メーカーとの協議が進んでいるという。

<RENATUS ROBOTICS>超高効率の自動倉庫システム

倉庫内をロボットが移動して自動倉庫を実現(IVS LAUNCHPADの公式配信より)

東大発AI・ロボティクス企業TRUST SMITHグループから独立して2022年に創業したRENATUS ROBOTICSは、超高効率の自動倉庫システム「RENATUS」を提供する。

同社では、自動倉庫システムに必要なラック、ロボット、アルゴリズム、昇降機をすべて自社開発。ロボットは自転車と同じ速さで同時に最大2,000台が作動する。このロボットがアルゴリズムによって倉庫内を自動走行し、該当のコンテナをステーション(ピッキング台)に配送する。ステーションで人が該当商品をピッキングすれば出荷準備が整うわけだ。

従来、人が行うと約4分ほどかかっていた作業が、RENATUSの自動化により約12秒まで削減されるという(ロボットの稼働時間は含まない)。

ビジネスモデルは主に2つ。1つは「買い切り型」で、1社の導入予算は3〜30億円となる。もう1つは中小企業向けの「SaaS型」だ。同社ではピッキング作業も自動化できるようピッキングアームの研究も進めているという。

1,000万円を獲得したのは「RENATUS ROBOTICS」

本ピッチイベントでは、オーディエンス賞、2位〜5位、そして1,000万円が付与されるスタートアップ京都国際賞が発表された。受賞企業は以下の通りだ。

<オーディエンス賞>
超高効率の自動倉庫システム「RENATUS ROBOTICS」

<5位>
人工衛星を使って価値ある不動産を探す「WHERE」

<4位>
1話3分のショートドラマアプリ「BUMP」

<3位>
生ごみを高速分解する微生物群「komham」

<2位>
衛星データ解析プラットフォーム「Solafune」

<スタートアップ京都国際賞>
超高効率の自動倉庫システム「RENATUS ROBOTICS」

1,000万円を手にしたのは、超高効率の自動倉庫システム「RENATUS」を提供する「RENATUS ROBOTICS」だった。登壇したファイナリストは総じてレベルが高かったと審査員たちは驚きの様子を見せており、RENATUS ROBOTICSのみならず10社の今後の展開に期待が集まりそうだ。

文:小林香織

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