特定非営利活動法人サンカクシャは、生活に困窮する18~25歳の若者を対象に、半年間の家賃補助を提供する新プロジェクトを開始したことを発表した。
同プロジェクトは、家賃補助と伴走支援を通じて若者の生活基盤を安定させ、自立生活の実現を目指すもの。支援を受ける若者は、増収や助成金の獲得を図り、補助期間中に自立した生活への道を切り開くことが期待されているとしている。
また、「離家支援(※)」の必要性を社会に広く訴え、支援の不足している若者の住まいや自立への伴走支援を制度化することを目的としているという。
2022年度版子供・若者白書によると、相談できる人がいないと回答した若者は12.4%、どこにも居場所がないと回答した若者は1.9%という結果に。親を頼れず、どこにも居場所がない若者が全国に約22万人いると推定されている。
さらに近年、日本の若者はさまざまな居住問題に直面しており、特に18~25歳の若者は経済的な理由から安定した住居を確保することが難しくなっているという。
虐待等の影響で親を頼れない、家庭内での孤立、家出など家族から十分にケアされなかった若者は、親の援助や奨学金が得られず、アルバイトのみで生計を立てているなど、低所得状態にあるとしている。これらの若者は、住居費の負担が大きく、生活基盤が不安定な状況に置かれがちとのことだ。
生活保護などの社会保障制度を利用することもあるが、大学生等は原則として生活保護の利用ができず、また各種制度に該当したとしても手続きや条件が厳しくすぐに支援を受けられないことも多いという。
そのため、一人暮らしを始めるための貯蓄や突発的な支出への対応が難しく、家賃の滞納や住居の維持が困難になるケースが増えているとのことだ。
こうした背景から、同法人は若者の生活基盤を安定させ自立を支援するため、家賃補助や伴走支援を実施。具体的な伴走支援例として、奨学金の獲得やアルバイトの開始、増収のための準備期間、社会保障制度の利用検討期間などがあるとのことだ。
同プロジェクトは、家賃補助と伴走支援の効果を検証するための取り組みでもあるという。ニーズの可視化や支援の効果、実施にあたっての必要な体制を可視化し、近い将来に政府予算化されるための政策提言を行うことを目標としているとのことだ。
■家賃補助プロジェクト概要
対象者:
18~25歳の若者
親の援助がない大学生や専門学校生、奨学金やアルバイトで生計を維持している者、またはアルバイトのみで低所得状態にある者などが含まれる。
補助額:月額3万円
支給期間:6カ月間
その他実施内容:生活改善や自立のための支援
連携・伴走団体:
一般社団法人コンパスナビ/一般社団法人アマヤド/一般社団法人Masterpiece/アフターケア相談所ゆずりは/社会福祉法人サレジオ学園
(※)虐待等の影響で親を頼れず家庭内での孤立、もしくは家出など家族から十分にケアされなかった若者が、社会に参画し安定して暮らしていけるまでの生活支援および伴走支援。