マルコメは、陸上養殖したあおさ（ヒトエグサ）を具材として使用したみそ汁を9月に出荷予定だと発表した。
あおさの陸上養殖は、徳島文理大学協力の下、愛媛県西予市に開設した同社の養殖試験設備で実施しているとのことだ。
あおさは、みそ汁の具材としても人気が高く需要も年々伸びているという。一方、温暖化による海水温の上昇などで海藻類全般の収穫量は減少が続いているとのことだ。
同社は、あおさの供給不安を解消するとともに、海洋資源の持続的な活用を目指して陸上養殖による藻場の創出に着目。2017年から藻類の成長因子の研究であおさの陸上養殖技術を開発した徳島文理大学の山本博文教授に技術指導を仰いできたという。
用地は愛媛県と西予市のサポートを受けることができたため、気候変動などに左右されない生産体制の確立に向け、明浜町にあおさ陸上養殖試験設備を開設。2019年から試験養殖を開始し、2024年に事業ベースの1／5の規模で試験を実施、種苗作成から収穫まで一連の流れを確立したという。
現在は3名体制で収穫量の増産や通年養殖に向けた取り組みを実施。通年養殖では夏季の収穫量が不安定になるため、種の掛け合わせを試みながら、より環境に適した種苗の作出に取り組んでいるとのことだ。収穫量の増産に向けて養殖のスキームや水槽の形態、撹拌手法についても試行錯誤を重ねているとしている。
また、9月から「生みそ汁料亭の味あおさ8食」の一部を陸上養殖あおさへ切り替えていくため、最終的な品質チェックを実施中。
あおさは高い海水温に弱いため、海面養殖では主に寒い時期に収穫されるが、陸上では通年収穫も可能だという。単位面積あたりの収量も海面養殖と比べて多く、期間も短いなどメリットの多い技術だとしている。
今後も段階的に増設、2027年度までに年間収穫量14トンを目指しているとのことだ。同社は、陸上養殖の技術を通じて、あおさのみならず他の藻類の持続的な利用実現、藻場の再生に向けた取り組みの一助となる可能性を探るとのことだ。
さらに、陸上養殖によってブルーカーボンとしてCO2の削減に期待がもてるとしており、商品の安定供給はもとより、海面養殖と共存し得るあおさ自体の外販も視野に入れているという。
■施設概要
施設名：あおさ陸上養殖研究開発拠点（仮称）
所在地：愛媛県西予市明浜町俵津1番耕地696番4
面積：約3,000坪（約10,000平方メートル）
水量：約5,600トン／日
排水：約5,600トン／日
水槽：300リットル水槽240基／10トン水槽120基／5トン水槽120基（予定）
