パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda(デューダ)」は、「転職市場予測2024下半期」を公開した。
なお「転職市場予測2024下半期」では、doda編集長 桜井貴史氏が解説を行っている。
2024年下半期の転職市場予測:
慢性的な労働力不足に加え、半導体需要やインバウンド影響などを受け、12分野で求人が増加・好調を維持
2024年下半期の転職市場全体における求人は、今回取り上げた15分野(7業種、8職種)のうち、12分野で「増加」「好調を維持」と予想しており、引き続き転職の機会が広がる見込みとなっている。
これまで求人数の増加を後押しする一因であった、コロナ禍からの「リバウンド需要」は落ち着くものの、以下の要因から、多くの分野で求人が増加・好調を維持すると思われるとのことだ。
1.少子高齢化による慢性的な労働力不足で、採用に積極的な企業が多いこと。
2.新卒採用だけでは十分な人数を採用しきれず、中途採用の枠を増やす対応を行う企業が増えていること。
さらに、EV自動車を筆頭とした自動車の生産や情報通信技術を駆使したDX推進を進める上で欠かせない半導体の生産強化に伴う求人増加も予想されるという。
日本企業だけでなく海外企業も日本国内に生産拠点を新設しようとする動きがみられるため、今後、研究開発職のほか、製造プロセス、品質管理、製造オペレーターなどのエンジニア需要が高まるほか、工場の新設に関連する不動産・建設業界の人材ニーズも増える見込みとしている。
分野別に採用トレンドをみると、「販売・サービス」分野では円安によるインバウンド需要が影響し、旅行代理店や宿泊施設、百貨店などで業績が好調なことなどを受け、採用ニーズが拡大する傾向が見られるという。
「IT・通信」分野では2025年問題の対応も含むDXニーズの高まりから、引き続き好調を維持すると予測しているとのことだ。
2024年下半期の企業動向予想:
個人が望むはたらき方やキャリアを叶える環境づくりがさらに進む
売り手市場に伴い、企業間での人材獲得競争は激化。そのため、企業は採用に注力するだけでなく、社員満足度を高め、定着率向上(離職防止)を図る動きが活発化していくと予測。具体的には次のような工夫がみられるとしている。
●はたらく時間と場所の選択肢を広げる
はたらく時間を調整しやすいよう「時差出勤」や「フレックスタイム制」を採り入れる企業が増加。コロナ禍の収束を受け一部では出社回帰の動きもみられるが、リモートワークと出社をあわせた「ハイブリッドワーク」を継続し柔軟に勤務形態を選択できる状態にするなど、はたらきやすい環境づくりが進む。
●社内異動やスキルアップの機会を提供する
キャリアの選択肢が多様化してきたことで、社内異動や副業を通じて自分の望む経験や新しいスキルを身に着けたいと考える人も増加。そのため、企業は社内で希望する部署への異動ができるような「FA制度」を導入したり、副業制度を整えたりと、個人が望むキャリアや経験を積めるような環境整備を進める動きがみられる。
●評価制度や中途採用時の提示年収を見直す
経験豊富な人材を獲得するため、即戦力として活躍が期待できる転職希望者には現職よりも高水準の給与を提示する企業が増えている。また、在籍年数などにとらわれず実力や結果を重視する評価制度を採り入れることで、モチベーションアップを図る動きも見られるという。
今後もますます労働人口が減少することを加味すると、人材獲得競争が続くことが予想され、個人が望むはたらき方やキャリアを叶えられる環境づくりに工夫を凝らす企業が増えていくとしている。
<参考>
転職サービスdoda『転職市場予測2024下半期』