アサヒ飲料は、「CO2を食べる自販機」で回収したCO2吸収材を活用したサンゴ移植の実証実験を7月上旬から沖縄県の伊良部島で開始することを発表した。
同実証実験は、CO2吸収材をサンゴ移植に活用する国内初の取り組みで、一般社団法人伊良部島環境協会と協業し、サンゴ礁保全活動とCO2資源循環を推進するとしている。
サンゴ礁は多様な生物を共存可能にする機能などを有し、生物多様性を維持する役割を担っている。近年、地球温暖化による海水温度の上昇などの影響で白化し、死滅するサンゴの問題が深刻化しているという。死滅したサンゴは元に戻ることがなく、生物多様性を維持する機能は消失するとのことだ。
2023年6月、グループ会社であるアサヒユウアスは、白化した養殖サンゴをアップサイクルした「海のマイボトル」を開発し、売上1本につき100円を伊良部島環境協会へ寄付することで白化したサンゴの有効活用とサンゴ礁保全活動を支援してきたという。
この取り組みをきっかけに同協業を開始し、今回は直接的なサンゴ礁保全活動にまで広げるとしている。同実証実験で効果的な結果が得られた場合、他エリアでの展開も検討し世界的に課題となっているサンゴ礁保全に貢献することを目指すとのことだ。
サンゴ移植の基盤には、原料の一部にCO2吸収材を配合することで、製造する段階で排出されるCO2を実質ゼロ以下に引き下げたカーボンネガティブコンクリート製の基盤を使用。基盤1リットルあたり約400グラムのCO2吸収材を配合し、30個の基盤を製作したという。
同基盤の適用性を事前に検証し、サンゴに悪影響を与えないことを確認したため、本格適用に向け海洋中のサンゴの育成について1年以上の長期で評価。
サンゴの骨格形成には、炭酸カルシウムなどの成分が有効と考えられており、炭酸カルシウムを含むCO2吸収材をサンゴ移植の基盤に配合することで、通常の基盤と比較し、発育が促進される事を期待しているとのことだ。
今後は沖縄県内の「CO2を食べる自販機」から回収したCO2吸収材を活用することで、地域の活性化や輸送距離の短縮にもつながる“エリア内でのCO2資源循環”のモデルとなることを目指すとしている。