大阪・関西万博の新築工事で「ほたて貝殻」の粉末を利用したシーリング材を使用 大林組とセメダイン、「スキャロップシール®」共同開発

TAG:

大林組は、セメダインとともに開発した「スキャロップシール」を、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」新築工事で現場適用したと発表した。

新築工事で「スキャロップシール®」を使用

「スキャロップシール」は、目地や接合部のシーリング材に配合される炭酸カルシウムの代替に、ほたて貝殻を粉砕して製造したバイオマスフィラーを使用した2成分形変成シリコーン系シーリング材。

炭酸カルシウムの約30%が代替されており、従来の性能を維持しながら資材の低炭素化を実現したという。

ほたて貝殻の主成分は炭酸カルシウムで、難燃性と分解されにくい性質から焼却処分が難しく処分方法が課題となっており、この貝殻を粉砕してバイオマスフィラーとして再利用することで、廃棄物の削減も可能とのことだ。

スキャロップシールの製造過程

従来、シーリング材に配合する炭酸カルシウムは石灰石を原料とし、その製造に係るCO2排出量は0.0879kg-CO2/kg。

一方、ほたては成長する過程で海水中のCO2を貝殻へ吸収・固定化するため、ほたて貝殻のCO2排出量は-0.44kg-CO2/kgとなり、それを廃棄せずバイオマスフィラーとして再利用することで、シーリング材製造に係るCO2排出量を低減できるとしている。

また「スキャロップシール」は使用実績の多い一般の2成分形変成シリコーン系シーリング材とほぼ同等のコストで、同様の耐水性、耐熱性を実現するほか、仕上げ塗料との密着相性も良く、バイオマスフィラーの効果で従来品に比べ動粘性が高いため液垂れを抑制できるなどの作業性にも優れているという。

なお、水浸漬後および加熱後の50%引張応力、伸び率は、いずれもスキャロップシール、従来品とも初期養生後とほぼ同等の値を示しており、耐水性、耐熱性が認められ著しい環境の変化があっても目地の変位に十分追従可能となっている。

スキャロップシールの接着性試験結果(JIS A 1439建築用シーリング材の試験方法)

両社は、2024年4月にスキャロップシールのJIS(日本産業規格)認証を取得しており、今後はスキャロップシールの普及を進めるとともに、カーボンニュートラル実現やサーキュラーエコノミーにつながる技術開発を通じてDGsの達成に貢献していくとのことだ。

モバイルバージョンを終了